命の砂時計 8

夜、名前は部屋のベッドの上で窓の外を見つめていた。


「……」


窓の向こうには半月を少し過ぎた月が輝いている。あと数日したら満月になる。
名前は深いため息をつく。


(もうすぐで満月…)


窓に手をかけ、名前は思案する。


(満月になったら、ちょうど一年…。その時、私は…)


名前は目を閉じる。
こうしている間にも、呪いは身体を蝕んでいる。
最近は、指先が上手く動かせなくなってきた。ダンテが仕事仲間に情報がないか聞きに行ったり、なるべくたくさん依頼を受けたりして自分に呪いをかけた悪魔を探してくれているが、ほとんど手がかりはない。
ダンテが申し訳なさそうな顔をして自分に謝る度に、自分が悪いのに、と思う。迷惑をかけているのは自分なのに、と。
それに…


(私は、満月のことも、あのことも言ってない…)


ダンテに、隠していることがある。でも、それを言うことは、どうしてもできなくて。でも、何らかの形で言わなくては、きっと伝えられずに終わってしまう。


(…そうだ…)


思いつき、名前はベッド脇のテーブルの引き出しから、ある物を取り出す。


(これに、託そう)


震える手でペンを持つと、名前はそれに何かを書き始めた。

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