命の砂時計 4

「お前、どうしてここに…」

「三年前に、お父さんの仕事の都合でここの近くに引っ越してきたの」


名前が言った街の名は、確かにこの近くの街だった。だが、それならここの治安の悪さは知っているはずだ。なぜ、ここにいるのだろう。


「ここの治安の悪さは知ってんだろ。何でここに来たんだ?」


ダンテが尋ねると、名前は言うのをためらっているのか、迷ったように視線を泳がせたが、やがてぽつりと呟いた。


「…ここにいるっていう便利屋の人に、頼みたいことがあるの」


ダンテを見上げ、名前は続ける。


「さっきの人の言葉で思ったんだけど…それって、ダンテでしょ?」

「…ああ」


名前の言葉に、ダンテは頷く。
名前はダンテのコートを掴むと、泣きそうな目で訴えた。


「お願い、話を聞いて」

「……わかった。まずは俺の事務所に行くぞ。話はそれからだ」


そう言うと、ダンテは名前を抱え上げた。突然のことに、名前は小さな悲鳴を上げる。


「とりあえず移動するぞ。車椅子は後で取りに来る」


名前の話を聞くため、ダンテは彼女を抱えたまま事務所へと向かった。

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