命の砂時計 2

「〜♪、〜♪〜」


上機嫌で鼻歌を歌いながら、男が道を歩いている。
男の名前はダンテ。スラム街で『DevilMayCry』という事務所に住み、便利屋を営んでいる。
というのは表の顔で、裏ではデビルハンターという顔を持ち、その世界では名の知れた人物である。
軽い足取りで進みながら、ダンテは言う。


「しっかし、今回の依頼は大当たりだったな。手応えのある相手だったし、依頼人も羽振りがよかったし」


今回の依頼はある金持ちからの依頼で、『夜な夜な屋敷の敷地内に現れる悪魔を退治してほしい』というものだった。さっそく依頼人の屋敷に赴き、その日の晩に標的(ターゲット)の悪魔を待ち構えた。現れた悪魔は巨大な身体の割に俊敏な奴で、狩りがいがあった。多少時間はかかったものの、ターゲットの悪魔を倒し、次の日、依頼人に報告した。依頼人は大層喜び、多額の依頼料を渡してくれた。
今はその帰りなのである。


「かなりの額だから、しばらくは持つな。この際、ツケでも払っちまうか」


依頼料の使い道について、ぶつぶつと呟きながらダンテが考え込んでいた時だった。


「…!…して!」

「う…い、…しく…ろ!」


微かに聞こえた会話に、ダンテは足を止める。よく耳を澄ませると、複数の男の声と一人の女の声。どうやら、女が男達に絡まれているようだった。


「昼間っからよくやるな…」


呆れたように呟き、ダンテはぐるりと視線を巡らせる。
治安の悪いスラム街では、強盗や殺人など日常茶飯事だ。時間など関係ない。
しばらく辺りを見回して、ダンテはある路地に目を留めた。どうやら、声の主達はその路地の向こうにいるらしい。


(放っとくわけにもいかねぇしな…)


ため息をつくと、ダンテは声のするその路地へと足を向けた。

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