happy summer! 10

「そこだ!」

「ネロ、ナイス!」

「させるか!」

「いいぞ、初代!」

「若、そっち行ったぞ!」

「任せろ!」


試合は白熱し、息をつく暇もないほどすさまじい攻防を繰り広げている。
リアラ達のチームはパワータイプの髭と初代で攻撃し、脚力に優れているリアラが走り回ってボールを拾い攻撃の補助をする形、若達のチームはパワータイプの若とネロが攻撃し、頭の回転の早いバージルが動きながら指示をする形を取っていた。
互いの力が拮抗し、点を取って取られてを繰り返す中、14−13でリアラ達のチームがマッチポイントを迎えた。


「行けっ!」


リアラがサーブを打つ。ネットを越えると、メンバー内一の力を持つネロがそれを向かえうつ。


「簡単には入れさせないぜ!」


そう言うと、ネロは右手でボールを打ち返す。凄まじい勢いで返ってきたボールを髭が向かえうった。


「それはこっちの台詞だぜ、坊や!」


髭がはね返したボールを、今度はバージルが返す。コートギリギリを狙って打たれたボールを、すばやい動きでリアラが打ち上げた。


「いいぞ、リアラ!」


初代が声を上げる。
髭はボールを受け止める前に、リアラに目配せした。次いで初代に目配せする。
その意図を読み取った二人は、ボールに向かって駆け出す。初代が攻撃するであろうと思った若達は迎え撃つために構える。
ネット越しに初代がジャンプし、そのまま打つと思われた。だが。


「なっ…!」


思わず若が声を上げる。初代は打たずに手を下ろし、その後ろからリアラが走り込んできて、大きくジャンプした。


「くっ…!」


高さのあるところから打たれたボールに、反応の遅れた若達は慌てる。一番近くにいたバージルが手を伸ばすが、あと一歩届かず、ボールは地面に落ちた。


「15−13!リアラ達の勝ちだ」

「やったあ!」


二代目から自分達のチームの勝利が告げられ、思わずリアラは跳ねて喜ぶ。


「やったな、リアラ!」

「上手かったぞ」

「えへへ…」


二人に頭を撫でられ、リアラは照れたように笑う。


「さて、と。じゃあ約束通り、こっちが勝ったから飲み物奢れよ?」

「ちくしょー…」


初代の言葉に、若は悔しそうに呟く。
こうして、半魔達の真剣な試合は幕を閉じたのだった。

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