happy summer! 8

「そこで息継ぎして…そうだ、上手いぞ」


保護者代わりで髭が双子と遊んでいる中、少し離れたところでリアラとネロは初代と二代目に泳ぎを教えてもらっていた。
いくらか泳いだ経験のあるリアラはちゃんと説明を聞いてすぐにコツを掴んだのか、数十分ほどで泳げるようになっていた。ネロは泳いだ経験がないため、多少時間がかかったものの、同じく泳げるようになっていた。


「これだけ泳げるようになったら十分だな」

「そうだな」

「本当ですか?」

「ああ」

「俺はもう少し教えてほしいけどな…まだまだな気がするし」

「泳ぐの初めてだし、しょうがないだろ。まだまだ時間はあるんだし、もう少し泳いでみたらどうだ?」

「ああ、そうする」

「まだ泳ぎ方を覚えたばかりだから、あまり遠くへは行かないようにな」

「はい」

「わかってる」


二代目の言葉に返事をし、二人は近くで泳ぎの練習を再開する。
一旦泳ぐのを止めて、リアラが言う。


「泳ぐのって楽しいね。フォルトゥナではできなかったことだよね」

「そうだな、海沿いにあるのに街自体が壁に囲まれて、船に乗る以外にはあまり来る機会がないもんな」

「私は山の方に住んでたしね」


リアラとネロの生まれ故郷であるフォルトゥナは、街自体が壁に囲まれており、人々はあまり街の外に出ることがない。海沿いなので港はあるが定期船は一週間に一回しか出ていないため、港自体も行く機会があまりないのだ。


「海ってきれいだよね…。いつかキリエも誘いたいな」

「ああ…そうだな」


ぽつりとリアラが呟いた言葉に、遠くを見るような目でネロは頷く。


「ネロ、今日は目一杯楽しんでいって、帰ったらキリエに電話しようよ。ネロも久しぶりにキリエの声聞きたいでしょ?」

「そうだな…そうする。ありがとな、リアラ」


リアラの気遣いにネロは感謝の言葉を述べる。
リアラが笑って頷いた時、遠くから若の声が響いた。


「リアラ、ネロ!みんなでビーチバレーしようぜ!」

「わかったー!ネロ、行こっか」

「ああ」


二人は海から上がり、若達の方へ向かって歩きだした。

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