愛でるなら優しい花を 11

普段行けないところを巡っていれば時間はあっという間に過ぎてしまい、青かった空は夕日の赤が混ざり始めていた。濃淡様々なレンガで彩られた道を二人は並んで歩く。その隣りに並ぶようにケルベロスも歩く。


「もうこんな時間かあ…あっという間だったね」

「そうだね、でも今日はとても楽しかった」

「私も!またこうやって出かけようね!」

「うん」


お互いに笑みを浮かべながら歩みを進める。二人の手はそれぞれ大きさの違う紙袋を三つあって、それなりに重さがある。けれど、二人にとっては幸せの重さでちっとも気にならない。


「紅葉、一緒にダンテさん達へ買うお礼の物を選んでくれてありがとう」

「お礼なんかいいよ、それに、私もこのお出かけのきっかけを作ってくれたみんなにお礼をしたかったから」


喜んでくれるといいな、とダンテ達の反応を想像して紅葉は期待に胸を膨らませる。そうだね、とリアラも同じ気持ちで頷く。
カフェでお茶を楽しんでいた時、リアラは紅葉に一つのお願いをした。こうして紅葉と出かけるきっかけを作ってくれたダンテ達にお礼をしたいから、お礼の物を探させてほしい、と。紅葉もリアラと同じ気持ちだったため、喜んで了承した。たまたま見つけた日用品を扱う店に入り、二人で相談しながらダンテ達に贈る品を探した。そうして買ったのはそれぞれ形と手触りの違う四つの赤いマグカップ。赤は彼らのイメージカラーということで共通させて、その他の部分が少しずつ違う物にした。そして、せっかくだからと紅葉とリアラも自分達の分のマグカップを買った。紅葉は淡いピンク色でかわいいうさぎの描かれたマグカップ、リアラは淡い水色でかわいい犬の描かれたマグカップだ。


「使うのが楽しみだね!」

「うん。少し遅くなっちゃったから急いで晩ご飯の買い物に行こうか、そろそろダンテさんと初代も帰ってくるだろうし」

「そうだね、若と2様も事務所で待ってるしね!」


彼らの姿を思い浮かべ、二人が歩く速度を早めた、その時だった。

[ 214/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -