愛でるなら優しい花を 5

朝食に使った食器を洗い終え、籠に置くとリアラは布巾で一枚一枚皿を拭いていく。食器を拭き終えた時、キッチンの入口から紅葉が顔を出した。


「リアラ、掃除終わったよ」

「あ、ありがとう。洗濯は後どれくらいで終わりそう?」

「えっと、後十分くらいかな」

「わかった。少し休んでていいよ、片付けが終わったらアイスティー用意するね」

「うん!」


笑顔で頷き、紅葉はリビングへ戻っていく。手早く食器を片付けたリアラは冷蔵庫から作り置きの紅茶を取り出し、氷を入れたグラスに注ぐ。


「お待たせ。はい、どうぞ」

「ありがとう!」


リビングで待っていた紅葉にグラスを手渡すと、紅葉は笑顔でそれを受け取る。自分の分のグラスをテーブルに置き、紅葉の向かいに座ると、リアラはストローに口をつける。


「美味しい!温かいのも美味しいけど、冷たいのも美味しいね!私、リアラの淹れてくれる紅茶大好き!」

「ふふ、ありがとう」


こうしたことでも喜んでくれるのが嬉しくて、リアラも自然と笑みを浮かべる。


「お昼ご飯、何にしようか?」

「そうだなあ…確か板状のパスタがまだ残ってたはずだから、ラザニアにしようか」

「いいね、美味しそう!」


紅葉は大きく頷く。少し迷った後、リアラは口を開く。


「あのね、紅葉」

「何?」

「今日、よかったら午後から出かけない?晩ご飯の買い物とはまた別で」

「え?」


リアラから誘いに驚いたのか、紅葉は目をパチクリとさせる。リアラは朝食で紅葉が若のおかわりのパンケーキを取りに行っている間にあったことを話す。


「…っていうことがあったの」

「そうなんだ…」

「今までご飯の材料とか、日用品とか、そういう必要な物の買い物にしか行かなかったでしょ?だから、たまには雑貨とか、そういうのを見に出かけてもいいかな、って。…どうかな?」

「行く!行きたい!リアラと出かけられるの、すごい嬉しい!」


紅葉はぎゅっと両手に力を入れて何度も頷く。目は子供のようにキラキラと輝いていて、彼女の気持ちがよく伝わってきた。どんな返事が来るか少し不安だったリアラはほっと安堵の息をつく。


「本当?よかった…。じゃあ、午後から出かけようね」

「うん!そうだ、せっかくリアラと出かけるのなら、少しおしゃれしよう!」


どうしようかな、と楽しそうに考える紅葉を見ていると、こちらも嬉しくなってくる。ふと、あることを思いついて、リアラは紅葉に話しかける。


「紅葉、一緒に出かけてくれるお礼に、一つ提案があるんだけど」

「提案?」


こてりと首を傾げる紅葉に、リアラはあのね、と自分の考えたことを話し始めた。

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