赤い幸せ 2

「I’m home」

「おかえりなさい」


依頼から帰ってきたダンテに、出迎えの言葉がかけられる。愛しい恋人に近づいて抱きしめ、おかえりのキスをしようとしたダンテは、彼女の手の中にある物に首を傾げた。


「緋紗、それは?」

「ワイルドストロベリーに実が生ったんです。ダンテが帰ってきたらすぐに知らせようと思って」


そう言ってワイルドストロベリーの鉢をこちらへと差し出す緋紗。彼女の言う通り、小さな花の中に一つだけ小さな赤い実が生っていて、微かに甘い香りを漂わせている。緋紗の隣に腰を下ろし、ダンテもワイルドストロベリーの鉢を見つめる。


「普通のイチゴより小さいんだな」

「そうですね。お店に売ってる苺とは違って甘味が少ないようですけど、香りがいいのでジャムにするといいらしいですよ」

「確かに、いい匂いだな」

「実が小さいので量を集めるのは大変ですけど、普通の苺ジャムに混ぜても美味しいらしいですよ。今度作りますね」

「ああ、楽しみにしてる」


他にもシロップにしたり、果実酒にしたり…とこれからのことを楽しそうに話す恋人に、温かく、幸せな気持ちになる。
彼女の華奢な肩に手を回し、ダンテは口を開く。


「緋紗」

「はい?」

「…よかったな」

「…はい」


その言葉に込められた意味に、緋紗は目を細めて頷く。
幸せそうに笑いあう二人の間で、鉢の上の白い花と赤い実がふわりと揺れた。



***
red様とblue様のサイト『Very Berry Sundae』が4周年を迎えたということでお祝いに書かせて頂きました。『家族シリーズの緋紗さんとダンテのいちゃいちゃ』ということで、私が家族シリーズの中で好きなワイルドストロベリーのお話を、許可をもらって続きのような形で書かせて頂きました。…ですがいちゃいちゃというよりほの甘ですね、すいません(^ ^;)短いし…(^ ^;)
調べてみるとワイルドストロベリーっていろいろと用途があって、葉はハーブティーに、花はエディブルフラワーとして食べられるらしいです。根も使えるとか。作ってるシーンも書きたかったのですが、長くなりそうだったので…(^ ^;)
ちなみに花言葉は「幸せな家庭」らしいです。緋紗さんとダンテのこれからの幸せな未来を暗示しているようですね(^ ^)
red様、blue様、サイト4周年おめでとうございます!

2016.6.28

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