家事だって大変なんです 7

翌日。


「ただいまー、ダンテ」

「お帰り、ディーヴァ。さっそくで悪いんだけどさ、渡したいものがあるから座ってくれないか?」

「渡したいもの?」

「ああ」


帰ってきて早々告げられた言葉に首を傾げつつも、言われた通りにディーヴァがソファに座ると、後ろからダンテが何かを手渡してきた。


「これ。いつもありがとう、ディーヴァ」

「あ…」


ディーヴァの目の前に差し出されたのは、大輪の赤い薔薇の花束と、白い箱。箱からふわりと香る匂いに、ディーヴァは目を瞬かせる。


「これ…チョコレート?」

「ああ、しかもディーヴァの好きなリンゴのコンフィチュールが入ったやつな」

「リンゴ!?」


好物の名前に、ディーヴァは目を輝かせる。開けてみろよ、とダンテに促され、ディーヴァが白い箱を開けると、きれいに仕切られた中に黒い紙製のカップに入った一口大のホワイトチョコレートが並んでいる。


「おいしそう…!」

「うまそうだろ?」

「うん!…でも、いきなりどうしたの?しかも、これ有名なお店のやつじゃない」


箱の蓋にはテレビのCMでよく見る有名店の名前が印刷されている。なかなか手が出せない値段だし、買うのも大変だったろうに…。
ディーヴァの問いに、ダンテは照れくさそうに頬を掻きつつ答える。


「その、さ、昨日家事やってみてわかったんだよ。すげえ大変なんだなって。ある意味、悪魔とやりあうより疲れるな、あれ」

「ダンテ…」

「だからさ、その、いつもの感謝を込めて、さ。ありがとう、ディーヴァ」


ダンテの言葉が、ディーヴァの胸にじわりと染みる。
ディーヴァは後ろを振り向くと、勢いよくダンテに抱きつく。


「お、っと」

「ありがとう、ダンテ!大好き!」

「オレもだよ、ディーヴァ」


ディーヴァを抱きしめ、ダンテはディーヴァの頬にキスをする。それを嬉しそうに受け入れたディーヴァは、ソファから立ち上がる。


「せっかくだから一緒に食べよ!薔薇活けて、それから紅茶淹れてくるね!」

「ああ」


頷くダンテに笑いかけ、ディーヴァは花瓶を探しに歩き出した。



***
11月22日が闇姫様の誕生日ということでお祝いに書かせて頂きました。こんなに遅くなってしまってすみません…。
リクエストは『家事をするダンテ』だったので、希望のネタを入れつつ書いてみました。ディーヴァちゃんのさりげない優しさも入れてます。変態ダンテは…書き辛かったです(笑)
闇姫様、誕生日おめでとうございます!
よいお年を!

2014.12.31

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