家事だって大変なんです 6

「…はぁ、ディーヴァ怒らせちまったな」


ベランダで洗濯物を干しながら、ダンテは大きなため息をつく。


「ディーヴァを楽させるためにアレコレやってんのに、結局手伝ってもらってるし…家事って大変だな」


ディーヴァはというと、洗濯機を回している間の時間を利用してリビングの床を掃除し直している。本当は自分が洗濯をしている間にこっそり終わらせるつもりだったらしいが、あんなことになってしまったため、一緒に洗濯機の周りを掃除して自分に洗濯物の干し方を教えてからリビングに向かった。おそらく、もう少ししたら終わるだろう。手際の良さにただただ感心してしまう。


「さてと、あとは…ん?」


そんなことを考えつつ、洗濯籠に手を伸ばしたダンテは動きを止める。
少しの間を置き、ダンテはそれを籠の中から取り出す。白い生地に同じく白いレースで縁取られた、これは…。


「ディーヴァのパンツ…」


間違いない。女物の下着を使うのなんて、ここには一人しかいない。いかにも彼女が使いそうなかわいらしい下着に、ダンテはいやらしい笑みを浮かべる。


「白か…いかにもディーヴァが着けそうな色だな。どれどれ…」


ためらいもなくディーヴァの下着に顔を近づけ、ダンテは息を深く吸い込む。


「んー、脱いだあとのディーヴァの下着の匂いもいいけど、洗い立ての下着の匂いもいいな!」


誰がどう見ても変態にしか見えないことをここぞとばかりにやるダンテ。しまいには思いっきり下着に顔を押しつけている。
だが、どうやらタイミングが悪かったようだ。


「ダンテー、洗濯物干し終わ…」


ガチャリと扉を開けて姿を現したディーヴァは、見たことのある物に顔を押しつけているダンテの姿に動きを止める。その間、数十秒。


「……っ、ダンテ何やってんのよ!この変態!!」

「ぐふおっ!」


ディーヴァが繰り出した右ストレートに、ダンテは呻き声を上げる。ダンテの手から素早く自分の下着を取り返したディーヴァの罵声が飛ぶ。


「ダンテに洗濯物干すの任せたあたしがバカだった!ずっとここにいれば!?」


バンッ!と勢いよく閉められた扉を前に、ダンテは自分の運のなさを呪ったのだった。

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