家事だって大変なんです 5

「うーん、やっぱり埃残ってる…」


ダンテに洗濯で使う洗剤とやり方を教え、リビングに戻ってきたディーヴァは指で床をなぞってついた埃に軽くため息をつく。
元々、掃除などしたことのなかったダンテだ、やり直しになるだろうなと何となく思っていたのだが、やっぱり正解だった。


「でも、棚とか天井のシーリングファンはちゃんときれいになってるし、助かったところもある、かな」


棚や天井のシーリングファンを水拭きし、床の掃除を始めるところまではちょこちょこ指示を出していたから、そこはちゃんときれいになっている。身長の低い自分が掃除をするのに苦労している部分だし、背の高いダンテがやってくれて助かったのは本当だ。


「さて、ダンテが戻ってくるまでにやろうかな」


服の袖を捲り、ディーヴァが箒を取りに行こうとしたその時。

ガタガタンッ!

「えっ、何、今の音!」


何かが大きく揺れる音に、ディーヴァは驚く。しかも、その音は脱衣所からしたような…。
嫌な予感がして、ディーヴァは急いで脱衣所に向かう。


「ダンテ!何し…」


脱衣所の扉を開けたディーヴァは、目の前の光景に絶句する。
大きな音の正体は洗濯機だったようで、蓋から大量の泡が溢れ、周りが泡塗れになっている。許容量を超えているとでもいうようにガタガタと音を立て続ける洗濯機の前に立っていたダンテがこちらに気づき、声を上げる。


「ディーヴァ!これ、どうすればいい!?」

「まずは洗濯機止めて!早く!」


慌てるダンテの声にはっと我に返り、叫びながらディーヴァは洗濯機の元に走り、電源のボタンを押す。動きを止め、泡が溢れるのは収まったものの、周りは泡塗れだ。
気まずい沈黙の中、ディーヴァが口を開く。


「…どうしてこうなったの」

「さ、さあ…」

「…ダンテ、洗剤どれくらい入れた?」

「え、えーっと…このくらい」


ダンテが示した数に、ディーヴァは目を見開く。


「それ、この洗濯物に使う量の倍じゃない!入れすぎ!ダンテ、ちゃんと容れ物の説明書読んだ!?」

「いや、たくさん入れればきれいになるかなー、と…」

「バカ!!どうするのよ、これ!洗濯やり直さなきゃだし、周りも掃除しなきゃだし、二度手間じゃない!」

「…ごめん…」


シュンとするダンテに大きなため息を吐き、ディーヴァは続ける。


「…いいよ、教えなかったあたしが悪かった。とりあえず、この泡どうにかしよう」

「ああ」


頷くダンテを横目に、ディーヴァは掃除用具を取りに動いた。

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