Nursing song of bright blue 6
その後、鈴さんとたあいもない話をしていた私は、ふと身体が浮くような感覚を覚えて、あ、と声を溢した。
「どうしたの?」
「…朝だ」
この、意識がはっきりとするような感覚。いつも目覚める前に感じる感覚に、朝が来ているのだとわかった。
「…そっか。なら、こっちもそろそろかな」
鈴さんが微笑む。
「…お別れ、ですね」
「うん。ちょっと寂しいけどね」
そう言う鈴さんに、私は立ち上がった後、小さく口を開いた。
「…あの、」
「ん?」
「もし、またどこかで会えたなら…また、お話してくれますか?」
ためらいがちに私が言うと、鈴さんは目を瞬かせた後、にこり、と優しい笑みを浮かべた。
「うん。その時はまたお話しようね」
「…はい」
微かに笑みを浮かべて、私は返す。
目の前が白く霞んでいく。そろそろ、目が覚める。
「…また、どこかで」
「うん。いつかまた、どこかで」
こちらに手を振る鈴さんの姿を最後に、私の視界は白く染まった。
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