shopping time! 9
ティナの案内で来た雑貨屋は店内が広く、アクセサリーや髪留めだけでなく、文房具やぬいぐるみなど様々な物が売られていた。店内を歩いていたリアラは、白いテーブルに並べられた小さなぬいぐるみに目を留める。
「あ、これかわいい…」
「テディベア?かわいいね」
「うん。小さいし、部屋に飾れそう…」
「買ってやろうか?」
「い、いいですよ!自分で買います!」
「遠慮するなって」
三人でわいわいと賑やかに話す中、離れたところでネロはある物を見ていた。
「何見てるの?」
「わっ!」
いきなり声をかけられ、ネロは驚きのあまり声を上げる。後ろを向くといつの間にかリアラがいた。
苦笑しながらリアラは謝る。
「ごめんね、驚かせて」
「あ、いや…」
「何見てたの?」
「あ、えっと…」
どう答えようかとネロが言葉に詰まっていると、話している間にやってきたのか、ダンテが上から覗き込む。
「それ、嬢ちゃんへのプレゼントか?」
「うわっ!お、おっさん!?」
「手袋かー、フォルトゥナって寒いもんね」
「テ、ティナまで…!」
ネロが手にしていたのは、女性用の白い手袋。手首についた同じ色のリボンがシンプルながらもかわいらしい。
考えを当てられてしまったのか、ネロは顔を真っ赤にする。
「わ、悪いかよ!だいぶ寒くなってきたし、あってもいいかと思って…!」
「誰も悪いなんて言ってないよ」
「ちょっと落ち着こう、ね?」
「お、おう…」
リアラに宥められ、ネロはようやく落ち着きを取り戻す。
「それ、キリエにあげるの?」
「そうしようかとは、思ってる」
「いいじゃねえか、嬢ちゃん喜ぶぞ」
「そう、か…?」
「そうだよ、大切な人から貰えたら、誰だって嬉しいよ」
「そっ、か…」
考えるように手袋を見つめるネロに、リアラが優しく話しかける。
「ネロ、よかったら私が帰る時に持っていこうか?」
「いい、のか?」
「うん。送るより少し遅くなっちゃうけど…」
「いや、助かる。…ありがとな、リアラ」
「どういたしまして」
「坊や、せっかくだから手紙でも書いたらどうだ?なかなか会えないんだし、たまにはいいだろ」
「て、手紙!?手紙なんて、何書いたらいいかわかんねぇよ…!」
「思ったことでいいんだって。難しいこと考えなくても大丈夫だよ」
「ティナの言う通りだよ、思うことを書けばいいんだよ」
「一言二言でもいいから書いてみろって」
「う…わ、わかった」
三人の言葉に押され、ネロはぎこちなく頷くのだった。
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