shopping time! 3
十五分後、着替えを終えたネロが階段を下りると、リビングのソファに寄りかかり待っていたダンテと目が合った。
「お、坊やも準備できたか」
「着替えるの早いな、おっさん」
「まあ、それほど服持ってるわけじゃないからな」
そう答えるダンテは、濃い灰色のフレンチコートに青いジーンズを履いていた。コートの中には赤いニットセーターを着ていて、普段見ない格好にネロは複雑な顔をする。
「あんたがそういう服着てると、何か違和感あるな」
「失礼な奴だな。そういう坊やこそ、いつもと雰囲気が違うじゃないか」
対するネロは、紺色のPコートに青系のチェックズボンを履いていた。同系色の色でまとめているためか、普段より落ち着いた雰囲気に見える。
二人でお互いの服装についてなんやかんやと言っていると、上から階段を下りる音が響き、ティナとリアラが姿を現した。
「お待たせー!お、二人ともちゃんと着替えてきたね!」
「えっと…待たせちゃってごめんなさい」
手を上げて二人に近寄るティナは、濃い緑のフリースジャケットに、焦げ茶のショートパンツを履いている。黒いストッキングに黄色の靴下を合わせ、コートの中には白いタートルネックを着ていた。
ティナの後ろから控えめに声をかけてきたリアラは、黒いジャケットに赤いフレアスカートを履いている。灰色のストッキングを合わせ、襟元に黒い紐と黒いアンティークレースが施されたウールの白いタートルネックを着ていた。
どちらも普段とは違う珍しい格好をしていて、ダンテとネロはまじまじと二人を見る。
「フリースか、珍しいな」
「前に二人で出かけた時、リアラが選んでくれたんだ。今日のコーデもリアラがやってくれたんだよ」
「へえ、リアラってセンスいいんだな」
「ありがとう。ネロもその服、よく似合ってるよ」
「…おう」
照れてポリポリと鼻の頭を掻くネロに、笑みを零すリアラ。そんな和やかな空気の中、ティナがリアラの袖を引っ張る。
「ねえリアラ…ダンテがリアラ見て動き止めてるけど」
その言葉にリアラがダンテに視線を移すと、ティナの言う通りダンテがこちらを見たまま動きを止めていた。リアラは首を傾げる。
「ダンテさん?」
「リアラ…その格好…」
やっとのことで口を開いたダンテの言葉に、ああ…と納得してリアラは答える。
「赤なら大人っぽいし、こういう素材ならいいかな、と思っただけですよ。こっちも控えめだからいいかな、と思っただけです」
服を摘まんで言うリアラの隣りで、ニヤニヤと楽しそうに笑みを浮かべながらティナが付け加える。
「これ、ダンテと出かける時のために持ってきてたらしいよー?恥ずかしいのか、部屋出るの渋ってたし」
「テ、ティナ!」
顔を真っ赤にして叫ぶリアラに、ダンテが尋ねる。
「…俺の、ためにか?」
「…色が被るとは思いましたけどね」
真っ赤なまま顔を逸らすリアラがかわいくて、思わずダンテは駆け寄ってリアラを抱きしめる。
「ありがとな、リアラ。…よく似合ってる」
「…ん」
「熱いねー。いいけど、そろそろ行くよー?時間なくなっちゃう」
「あ、ごめん!」
「…俺、いなくていいんじゃねえの」
「そう言うなよ、坊や。みんなで、なんだからな」
ようやく本来の目的に向け、四人は事務所を後にした。
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