my mermaid 10

(遅いな…)


ディーヴァが海に入ってから三十分、いつでも戦えるようにリベリオンを手に持ち、ダンテは岸で悪魔が現れるのを待っていた。


(まさか悪魔に捕まった、なんてことないよな…)


なかなか戻ってこないディーヴァに、不安ばかりが募る。それを振り払うようにダンテは頭を振る。


(ディーヴァが任せろって言ったんだ、信じてやらないと)


心の中で呟き、リベリオンの柄を強く握った、その時。


「!」


ふいに感じた悪魔の気配に、ダンテは顔を上げる。それと同時にこちらに近づいてくる、二つの気配。
これは…

パシャッ

「ダンテ!」

「ディーヴァ!」


水飛沫が飛び、海の中から跳び上がったディーヴァの身体が宙に舞う。それを追うように海面から無数の触手が現れ、ディーヴァを捕らえようと腕を伸ばす。


「させるかっての!」


地面を強く蹴り、ダンテは高く跳躍する。触手より早くディーヴァをその腕に抱くと、リベリオンを構え、こちらに向かってくる触手を切り倒す。

ギャアアア!!

辺りに悪魔の叫び声が響き渡る。足元に魔力を集中させ魔法陣を展開し、それを足場にして悪魔から距離を取ったダンテは岸にディーヴァをそっと下ろす。


「よくがんばったな、ディーヴァ。後はオレに任せとけ」

「うん」


頷いたディーヴァに微笑みかけ、ダンテは悪魔のいる方を見据える。
次の瞬間、ザブン!と大きな音を立て、悪魔が姿を現した。
女性の姿をした上半身に、蛸の足を持つ悪魔だった。その身体はダンテ達より遥かに大きく、背後の月を隠す程だ。
ダンテを見下ろし、悪魔が呻く。


『よくも邪魔をしてくれたわね。あともう少しでその子を私の仲間にできたのに…』

「ディーヴァをお前等の仲間になんかさせるかってんだ。大人しくおウチに帰りな」

『生意気な!』


そう叫ぶと、悪魔は両手と無数の足をダンテに向かって伸ばす。それを跳んで避けると、リベリオンを構え、ダンテは言い放つ。


「これで終わりだ!」


ダンテの放った強力な突きが、悪魔の額に直撃する。


『ギャアアア!!!』


甲高い叫び声を上げ、悪魔は海にその身を沈めていった。

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