my mermaid 9
「わ、けっこう暗いなあ…」
海の中に入ったディーヴァは辺りを見回しながら呟く。
空から射し込む月明りで少しは明るいものの、視界はよくない。だが、今はこの姿のおかげかディーヴァの目には周りの様子がよく見える。
(やっぱりこの姿だからか、呼吸は問題ないみたい。けど、早くここから出たいな)
自分から言い出したとはいえ、暗い海に一人きりでいるというのは怖い。早く悪魔を見つけて、元の姿に戻りたい。
そう思い、ふとディーヴァが前を見た時だった。
ギラッ
「!」
遠くに二つの光が見えたかと思うと、ものすごい速さでそれはこちらに向かってきた。
(来た…!)
怖くて身体が竦むが、怖がっている場合ではない。何とか上手くダンテのいる岸まで誘導しないと。
踵を返し、ディーヴァは勢いよく水を蹴った。
[ 170/220 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]