my mermaid 6

「ただいま、ディーヴァ」

「あ、お帰り、ダンテ。どうだった?」

「今日もめぼしい情報はなかったな。…ごめん」

「いいよ、ダンテが悪いわけじゃないもの。だから、ね、顔上げて?」


手を伸ばしてダンテの頬を包み込むと、ディーヴァは微笑みかける。
自分がこの姿になってから三日目、ダンテはあの海岸に行って付近の住民に悪魔のことをいろいろと尋ねて回っているが、めぼしい情報は見つからない。自分のために情報を求めて奔走してくれているダンテのために何かしてあげたいのだが、この姿では歩くこともできないし、ここから出てしまえば水がなくてすぐ苦しくなる。
だが、だからといってダンテに辛い顔は見せたくない。ダンテだって早く自分を元の姿に戻したいのに悪魔の手がかりが掴めないと苦しんでいるだろうし、あの白い光を避けたことで自分に当たってこの姿にしてしまったことに責任を感じているだろうから。
不安そうな目でディーヴァを見つめ、ポツリとダンテが呟く。


「なあ。…このまま呪いが解けなくて、泡になって消えるなんてこと……ないよな」


ダンテの言葉にディーヴァは首を傾げるが、すぐに意味を理解してああ…と納得する。
童話の『人魚姫』では、人魚姫は最後、泡になって消えてしまう。だから、同じように人魚の姿の自分が消えてしまうのではないかと思っているのだろう。
こつん、と自分の額とダンテの額を合わせ、ディーヴァは告げる。


「ダンテ、心配しないで。あたしはダンテを残して泡になったりしないよ。ダンテの愛という呪いの網であたしというお魚を捕まえていて」

「ディーヴァ…」


自分を安心させるように笑うディーヴァに、ダンテは苦笑を零す。


「ワリ、オレらしくなかったな。…ちゃんと元の姿に戻してやるから、もうちょい待っててくれな」


そう言ってキスするダンテににっこりと笑いかけ、ディーヴァは頷いた。

[ 167/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -