my mermaid 3
「楽しかったー!」
「そりゃ何よりで。そろそろ日も暮れてきたし、帰るか」
「そだね、早く帰らないと暗くなっちゃう!」
楽しい時間というのはあっという間なもので、空は夕焼けで赤く染まっている。
海を眺めていたディーヴァが振り返り、ダンテの元に駆け寄ろうとした、その時。
ザバッ
「え…きゃっ!」
「ディーヴァ!」
突然、海から何かが伸びてきてディーヴァの足を掴んだ。驚いて転んだディーヴァを強い力でひっぱる。
「や…っ、ダンテ!」
「っの、ディーヴァを離しやがれ!」
叫んだダンテは地面を蹴って高く飛び上がり、ディーヴァの足を掴むものに蹴りをくらわす。強力なダンテの蹴りに怯んだのか、それはディーヴァの足を離して海の中へと戻っていく。
が、次の瞬間、海の中で二つの光が煌き、ダンテに向かって白い光が飛んできた。
「ハッ、んなもんオレには当たらねえよ!」
速さのあるそれをダンテは身軽に避ける。だが。
「きゃぁっ!」
「!ディーヴァ!?」
白い光は生き物のように動き、今度はディーヴァに向かった。自分に向かってくるとは思わなかったディーヴァはその光を身体に受けてしまう。
目を見開くダンテの背後で、女の笑う声が響く。
『ふふっ…また一人、かわいいお魚さんの出来上がりね』
ひとしきり笑うと、その声を残し、二つの光はフッと消えてしまった。
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