あなたと一緒なら 6
「が…っ!」
「…え?」
男の呻き声に、紫乃は目を見開く。そのまま倒れた男の前には、右脚を曲げた姿の女性。どうやら、男の腹部に蹴りを入れたらしい。
二人の男の眼つきが鋭くなる。
「っのアマ…!優しくしたらつけあがりやがって…!」
「構わねえ!やっちまえ!」
そう言い放ち、男達が女性に殴りかかる。それを鮮やかな身のこなしでかわした女性は、片方の男の背中に回し蹴りを、もう片方の男の頭に踵蹴りをくらわせる。かなり強烈な蹴りだったようで、二人の男も地に倒れてしまった。
気を失った男達を背景に、手で軽く服の埃を払うと、女性は紫乃に歩み寄る。
「大丈夫ですか?」
「は、はい」
「ここにいたらまたこんなことが起こるかもしれません、早く出ましょう」
紫乃の手を取ると、導くように女性は薄暗い路地から出るために歩き出した。
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