あなたと一緒なら 4

あれからゆっくりと買い物を楽しみ、昼食も食べ終えた二人はまた街をぶらぶらと歩く。


「よく似合ってるな。俺の目に間違いはなかった」

「ふふ、ありがとう」


ダンテの視線の先には、先程の店で買った花のヘアゴムをつけた紫乃の姿。最初はダンテが自らの手でつけようとしたのだが、恥ずかしがった彼女が自分でつけたのだ。


「次はどこに行く?」

「うーん…特に行きたいところは決まってないし…」


紫乃が考え込んでいると、何かを見つけたのか、お、とダンテが声をあげる。


「ワゴン車か。紫乃、何か食べるか?」


ダンテが指差す先には、赤い屋根のついた小さなワゴン車。どうやらクレープを売っているようで、甘い香りがこちらまで漂っている。


「また食べるの?さっきお昼食べたばかりじゃない」

「甘いもんは別腹だ」

「もう…」


少し呆れつつも、ダンテが甘いものを好きなことを知っている紫乃は苦笑しながら言う。


「私はお腹いっぱいだからいいわ。ここで待ってるから、自分の分だけ買ってきて」

「なんだ、食べないのか?」

「そうね…じゃあ、ダンテのを一口だけもらうわ」

「わかった。ちょっと待ってろよ」


そう言い残し、ダンテはワゴン車へと向かう。ダンテがクレープを注文している後ろ姿を眺めていた紫乃は、ふいに誰かに肩を叩かれ、後ろを振り返る。


「?…っ!」


振り返った瞬間、口元を大きな手で塞がれ、紫乃は目を見開く。強い力で引きずられ、為す術もなく紫乃はその場から連れ去られた。

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