あなたと一緒なら 3
「わあ、すごい…!」
「小さい店の割にけっこうあるんだな」
店に入った二人は、予想以上の品数に感嘆の声をあげる。
店内には指輪やネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーにシュシュやバレッタなどの髪留めと、女性なら喜びそうな品物が揃えられている。もちろん紫乃も例外ではなく、目をキラキラと輝かせながら辺りを見回している。その様子にくすりと笑みを零し、ダンテは紫乃に話しかける。
「ゆっくり見て回ればいい。ほしいのがあったら買ってやるよ」
「ふふ、ありがとう。でも大丈夫よ、ほしいのがあったら自分で買うわ。その気持ちだけ受け取っておくね」
ダンテに微笑みかけると、紫乃は店内を歩き始める。その後ろをゆっくりとした足取りでダンテがついていく。
いろいろと手に取って眺めていた紫乃は、ふいにダンテに呼び止められて振り返る。
「紫乃、これなんかどうだ?」
「え、どれ?…わあ、かわいい!」
ダンテの傍に寄り、彼の指差す方へと目をやると、そこには色とりどりの花があしらわれたヘアゴムがあった。小さな花束のようになっているそれはいくつか種類があるようで、どれもかわいくて目移りしてしまう。
ふいに、ダンテがその中の一つを指差した。
「これ、紫乃に似合いそうだな」
ダンテが指差したのは、大きな白い花の横に小さな薄紫の花と淡いピンクの花が付いたもの。花を束ねるように茶色のリボンが付いており、控えめな色合いながらもかわいらしさがある。
「優しい色合いね」
「気に入ったか?」
「うん」
「じゃあ買ってやるよ」
「え、でも…」
「今日は紫乃の誕生日だからな。プレゼントだ」
そう言って笑うと、ダンテは紫乃の返事も待たずレジへと向かう。少々強引ながらもダンテなりの優しさに、紫乃はくすりと笑みを零し、ゆっくりと彼の後を追った。
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