あなたと一緒なら 1

夏も盛りを過ぎ、終わりを迎えようとしていた頃。


「わあ、賑やかね…!」

「今日は日曜だしな」


ダンテに連れられて紫乃がやってきたのはスラム街から少し離れた街。スラム街とは違い活気があって、祝日であることも手伝ってか、道を行き交う人々が多い。
今朝、珍しく早起きしたダンテから出かけようと誘われ首を傾げた紫乃だったが、理由はすぐわかった。今日は8月31日−自分の誕生日だ。だからダンテはわざわざ早起きして出かけようと誘ってくれたのだろう。紫乃はそれを嬉しく思い、すぐに頷いた。
せっかくだから今日は少し離れた場所に行ってみようということで、二人はスラム街から離れたこの街に来た。たまにはゆっくり行くか、というダンテの言葉に賛成し電車で来たが、外の景色を見ながら目的地に向かうのがいつもとはまた違う雰囲気で、たまにはこういうのもいいかもしれない、と紫乃は思った。


「時間はたっぷりある、ゆっくり回るか」

「ええ」


自分に向かって差し出されたダンテの手にゆっくりと自分の手を重ね、紫乃は頷いた。

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