Nursing song of bright blue 2

(何もないな…)


歩き始めて数十分は経っただろう、だが、周りには何も見当たらず、白い空間が広がるだけ。
白は好きだが、ずっとこのままだと、さすがにうんざりしてくる。


(本当に何もないのかな…)


どうしようかと再び考え始めたその時、視界の先に何かが映った。


(…人?)


私は首を傾げる。
最初は黒い点に見えていたそれは、時間が経つごとにその姿がはっきりしてきた。−人だ。たぶん、こちらに向かって歩いてきているのだろう、だんだんと距離が縮まっていく。


(女の人、だ)


私は心の中で呟く。
女の人は、黒のライダースジャケットに黒い革のパンツ、それにブーツを身につけている。私と同じような仕事をしてそうだな、なんて思いながら次いでその人の顔を見た時、私は目を見開いた。
歩くたびに揺れる長い髪は輝く銀色、瞳は澄んだアイスブルー。
その瞬間、私は脳裏を掠めたかの人の名を小さく呟いていた。


「ダンテ、さん…」


私の声で人がいることに気づいたのだろう、女の人がこちらを見た。
女の人は目を見開くと、太股につけていたホルスターから銃(たぶん、形からしてブローニングだろう)を抜き、こちらへ向けてきた。


(え、ちょ、いきなり!?)


突然の展開に私は慌てたが、女の人はじっ、とこちらを見つめると、目を瞬かせた。


「…ダンテやバージルと同じ…?」


女の人の言葉に、今度は私が目を見開く。


「二人を知ってるんですか!?」


数秒の間を置き、お互いに見つめたまま、二つの声が重なった。


「「…え?」」


こうして私はダンテさんと同じ容姿をした女の人と不思議な出会いをしたのだった。

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