漆黒の闇に踊る 12
「これ、うまいな」
「そうですね。また今度来ましょうか」
「そうだな。なあ、リアラのそれ、もう一口くれないか?」
「いいですよ。はい、どうぞ」
「…ん、こっちもうまいな」
「私も一口もらっていいですか?」
「ああいいぞ、ほら」
「ありがとうございます。…ん、おいしい」
「だろ?」
幸せそうな笑みを浮かべるリアラに髭も笑いかける。
街へ出て数時間、服や靴、雑貨など様々な店を回り、二人は買い物を楽しんだ。今はワゴン車で買ったクレープを片手にぶらぶらしているところだ。ちなみにリアラはチョコブラウニーと生クリームに苺ソースのかかったクレープ、髭はたくさんの苺と生クリームが入ったクレープを食べていた。
「次はどこに行く?」
尋ねてくる髭に、リアラは多少ためらいながら言った。
「ダンテさんは行きたいところないんですか?今日はダンテさんの誕生日ですよ?」
「俺はリアラと一緒にいられればそれだけで充分だ」
困ったように見つめてくる瑠璃色の瞳を見つめ返し、髭は柔らかな笑みを浮かべる。
彼女が隣にいて、自分に向かって笑いかけてくれるだけで。それだけで心が暖かなもので満たされる。そんな愛しい存在と過ごす時間は、それだけで幸せだ。
んー…、と少し悩むと、リアラは口を開く。
「…じゃあ、一つ寄りたいところがあるんですけど、いいですか?」
「ああ、いいぞ」
「ありがとうございます」
じゃあ、行きましょう、と手を引かれ、髭はリアラの後について行った。
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