漆黒の闇に踊る 12

「これ、うまいな」

「そうですね。また今度来ましょうか」

「そうだな。なあ、リアラのそれ、もう一口くれないか?」

「いいですよ。はい、どうぞ」

「…ん、こっちもうまいな」

「私も一口もらっていいですか?」

「ああいいぞ、ほら」

「ありがとうございます。…ん、おいしい」

「だろ?」


幸せそうな笑みを浮かべるリアラに髭も笑いかける。
街へ出て数時間、服や靴、雑貨など様々な店を回り、二人は買い物を楽しんだ。今はワゴン車で買ったクレープを片手にぶらぶらしているところだ。ちなみにリアラはチョコブラウニーと生クリームに苺ソースのかかったクレープ、髭はたくさんの苺と生クリームが入ったクレープを食べていた。


「次はどこに行く?」


尋ねてくる髭に、リアラは多少ためらいながら言った。


「ダンテさんは行きたいところないんですか?今日はダンテさんの誕生日ですよ?」

「俺はリアラと一緒にいられればそれだけで充分だ」


困ったように見つめてくる瑠璃色の瞳を見つめ返し、髭は柔らかな笑みを浮かべる。
彼女が隣にいて、自分に向かって笑いかけてくれるだけで。それだけで心が暖かなもので満たされる。そんな愛しい存在と過ごす時間は、それだけで幸せだ。
んー…、と少し悩むと、リアラは口を開く。


「…じゃあ、一つ寄りたいところがあるんですけど、いいですか?」

「ああ、いいぞ」

「ありがとうございます」


じゃあ、行きましょう、と手を引かれ、髭はリアラの後について行った。

[ 150/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -