漆黒の闇に踊る 6
地下に下り、いつも会議に使っている部屋にリアラ達が入ると、そこには二人の青年が待っていた。
赤いシャツを着た青年がリアラ達に向かって手を上げる。
「お、リアラ達か。お疲れ!」
「若とバージルもお疲れさま」
リアラが青年達―若とバージルに微笑みかけると、若はにかっと笑い、バージルはこちらを一瞥するのみに留める。
皆机の前に集まると、二代目が口を開いた。
「みんな揃ったな。じゃあ、仕事の結果を報告してもらおうか。まずはリアラ達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかりました。私達のチームは依頼は無事完了。メモリーカードのある場所を見つけるのに多少時間がかかりましたけど、それほど道具は使ってないから経費は少なく済むはずです。報酬は2、3日以内には口座に振り込まれると思います。…ああ、一つ出費があったわ、ダンテさんが使ったミサイルランチャー」
そう言ってリアラが隣にいた男を睨むと、男は肩を竦めて返す。
「重かったんだ、仕方がないだろ」
「ダンテさんなら持って帰れました。前の依頼では持って帰ってましたよね?わざわざ爆弾付けて爆発させる意味はなかったと思いますが」
「ニュースで見た時、煙が上がってたのはそのせいか。…髭、今回使ったミサイルランチャーはお前の自腹だ」
「…了解」
有無を言わせぬ低い声で言った二代目に、男―髭は大人しく頷く。
「次は初代達のチーム、結果を報告してくれ」
「わかった。こっちも依頼は無事完了、相手の基地を破壊する計画を立てるのに多少時間はかかったが、計画が立ってからは早く片づいた。ただ、だいぶ火薬を使ったからな…経費はかかりそうだ。バージルが計算して最小限の量にしてるから、なるべく抑えてはあるはずだが。報酬はすでに口座に振り込まれてる、さっき確認した」
初代がそう言うと、隣にいた若は依頼のことを思い出しているのか、目を輝かせて興奮ぎみに言う。
「いやー、あれ気持ちよかったよな!基地が跡形もなく崩れていってさ!」
「貴様は馬鹿か、基地内の人間を巻き込まないためにどれだけ気を遣ったと思っている。これだから何も考えない奴は…」
「んだと!?」
「はいはい二人とも、ケンカしない。若、気持ちはわかるけど、人を殺さないのが私達の信条だからね、バージルの苦労もわかってあげて」
そう、リアラ達この事務所のメンバーは人を殺さないことを信条としている。例えどんな人であれ、その人の命を奪うことは重い罪を背負うとわかっているからだ。
「う…わかってるよ」
リアラの言葉に若は言葉を詰まらせる。その様子を見ていた初代が感心したように呟く。
「本当、リアラってこいつらの母親みたいだよな。いつもこんなの見てる気がするんだが」
「私はまだそんな歳じゃないよ、初代」
「坊やも母親っぽいよな、みんなの世話係だしな」
「おいおっさん、世話係ってどういう意味だ」
二人のやり取りにあまりよくない雰囲気を感じ取ったリアラは仲裁に入る。
「ネロ、落ち着いて。ダンテさんは余計なこと言わないでください、コードネーム剥奪されたいんですか?」
コードネームを剥奪されるということは、仕事ができないということ。
リアラの発言に、髭は素直に謝る。
[ 144/220 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]