漆黒の闇に踊る 3

「はー、やっと終わったな」

「最後のはやり過ぎよ、『トールン』。騒ぎが大きくなっちゃうじゃない」

「どちらにしろニュースにはなるだろ。だったら派手な方がいいじゃねぇか」

「…『サイレン』に怒られても知らないから」


男の言葉にため息をつき、女は歩みを進める。
あの部屋から脱出し、屋上にいた仲間と合流した後、あらかじめ張っていたワイヤーでビルから脱出した。終着点である森に降り立ち、ワイヤーを処分したところでビルから派手な爆発音が響いた。驚いて男に尋ねると男は置いてきたミサイルランチャーに爆弾を取りつけてきたらしく、自分達のいた階からは煙が上がっていた。あそこにいた黒服の男達はただでは済まないだろう。
女は隣を歩く青年に声をかける。


「『バイオレット』、『サイレン』に仕事完了って報告しておいて」

「了解。…お、『サファイア』からメールが来てるぜ。あっちも仕事終わったってよ」

「本当?じゃあ、久しぶりにみんな集合できそうね」

「だな。あ、『サイレン』からメールが返ってきた。なになに…『エース』が迎えに行く、だってよ」

「本当!?助かるわ、歩いて帰るのって大変で…」

「地理はわかってるから、ヘリで迎えに行くってよ。場所はこの先の湖だ」

「わかったって伝えておいて。はぁ、これでやっと一息つけそうね」

「なぁリアラ、そろそろ名前で呼んでくれよ」


耳元で囁き、後ろから抱きしめてくる男に、女―リアラは肩にもたれかかっている男の額を指で小突く。


「いてっ」

「まだ仕事中。名前呼ぶのは事務所に帰ってから」

「つれないねぇ」

「つれなくて結構。疲れてるんですから、抱きつかないでください」

「俺も疲れてる。癒しがほしいんだ」

「…はぁ」


再びため息をつき、リアラは止まっていた足を動かした。

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