幸せのレシピ 5
「ダンテ、さん…?」
「ただいま。飯の支度中に寝るなんて珍しいな」
その言葉に一気に意識が覚醒したリアラは慌てて飛び起き、壁に掛けられた時計を見やる。
「い、今何時…!?」
「6時過ぎだな。夕飯の時間よりちょっと早いくらいか」
「い、一時間も寝ちゃってたの…!?」
寝るつもりなんてなかったのに…!、とリアラはうろたえる。
「あ、あの、とにかく晩ご飯の準備…」
くぅー…
リアラが言い終わる前に、彼女のお腹が小さく鳴った。恥ずかしさに顔を真っ赤にし、リアラは口許に手を当てる。
少し驚いた顔で、ダンテはリアラに尋ねる。
「…もしかして、昼飯食べてないのか?」
「ち、ちょっと食べましたよ」
「何を?」
「ヨ、ヨーグルト…」
小さく答えるリアラにダンテはため息をつく。
「我慢しないで食ってよかったんだぞ?」
ダンテの言葉に、リアラはふるふると首を振る。
「その、我慢してたんじゃないんです。一人で食べるの、何だか寂しいなって思ったから…」
だから食べる気が起きなかったんです、と告げたリアラにダンテは目を見開く。
「と、とりあえずご飯用意しますね!すぐ出来ますから!」
顔を真っ赤に染めたまま、リアラはエプロンを取ってキッチンへ向かう。その後ろ姿を、ダンテは無言で見つめていた。
[ 126/220 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]