幸せのレシピ 2
昼を過ぎた頃、リアラはスラム街近くの大通りに来ていた。食材の買い出しによく利用する場所だ。
リアラは馴染みの店の屋根を見つけるとそこに向かって歩み寄る。
「おばさん、こんにちは」
「あらお嬢ちゃん、いらっしゃい」
店番をしていた女性は笑顔でリアラを出迎える。
「今日のおすすめは何かありますか?」
「ああ、今日はこれがおすすめだよ」
そう言って女性が指差したのは、真っ赤に熟れた苺だった。わ、とリアラは感嘆の声を上げる。
「おいしそう…!」
「今が旬だからね。お嬢ちゃん、苺好きだろう?」
よく買っていくものねぇ、と言う女性に、リアラは恥ずかしそうに頬を染める。
「安くしとくよ。買っていかないかい?」
「じゃあ、せっかくですから買っていきます」
そう言ってリアラが一籠分の苺をお願いすると、まいど!、と威勢よく返し、女性は苺を袋に入れていく。
「いつも買ってもらってるから、もう一籠分おまけしておくね」
「すみません、ありがとうございます」
「いえいえ、また来ておくれね」
お金を払い、苺の入った袋を受け取ると女性に礼を言い、リアラは通りを歩き始める。
「いっぱいだなあ…。これだけあると、何か作れそう」
袋に入った苺を見て呟くと、リアラはあることを思いついた。
「そうだ、こんなにいっぱいあるんだし、あれ作ろう」
思いつきを実行に移すべく、リアラは材料を買いに走った。
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