ハラハラドキドキプチ旅行! 12
休憩所でリアラと髭が話を始めた頃、部屋では。
「ディーヴァー、頼むから許してくれって」
「絶対嫌!ダンテのバカ!」
布団を被ってふて寝するディーヴァと、横で必死に謝り続ける若。
かれこれ20分くらいこのやり取りを続けているが、ディーヴァはダンテのバカ、変態、と罵るばかりで、こちらを見向きもしない。
ディーヴァの完全に拒否するような態度に、若はシュンとして呟く。
「なぁ、どうしてもダメか…?」
「…っ」
寂しそうな声音に、ディーヴァの心が揺れる。さらに追い討ちをかけるかのように、若は続ける。
「せめて顔だけでも見せてくれよ…」
「……」
仕方なく寝返りをうち、ディーヴァは若を見上げる。ただし、目から下は布団で隠したまま。
若は布団ごとディーヴァを抱きしめ、顔を伏せる。
「ごめん、本当に、ごめん…」
「…もう、こういうところであんなことしない?」
「しない。約束する」
「…絶対?」
「絶対」
「…仕方ないなあ…許してあげる」
ため息をつきつつも布団から顔を見せてくれたディーヴァを、若は嬉しそうな顔で一層強く抱きしめる。
ディーヴァの顔にキスの雨を降らせながら、若は呟く。
「ディーヴァ、好きだ、愛してる」
「ん、わ、わかったって…。恥ずかしいから止めて」
顔を真っ赤にするディーヴァにくすりと笑みを漏らし、若はゆっくりとディーヴァから離れる。
ディーヴァを見つめて、若は口を開く。
「ディーヴァ、その服、よく似合ってる」
ディーヴァはピンクの矢羽柄の浴衣に雪うさぎの刺繍入りの深紅の羽織を着ていた。
若の言葉に笑みを浮かべ、ディーヴァは口を開く。
「…ありがとう。ダンテもその浴衣、よく似合ってるよ」
若は黒紅葉の模様が入った、赤から黒のグラデの浴衣に濃い灰色の羽織を着ていた。相変わらず赤が似合うな、とディーヴァはくすりと笑みを溢す。
甘えるように鼻先を擦り合わせると、若は言う。
「…な、一緒に寝ていいか?」
いつもだったら聞かないくせに、今回の件で反省しているのか尋ねてくる若に、ディーヴァは思わずくすくすと笑みを漏らしてしまう。
「いいよ」
ディーヴァが頷くと、若はディーヴァの入っている布団に潜り込んできて、ぎゅっと彼女を抱きしめる。
「…おやすみ、ディーヴァ」
「…ん、おやすみ、ダンテ」
頭を撫でる若の手の動きに眠気を誘われ、ディーヴァはゆっくりと瞼を閉じる。ディーヴァの寝顔を満足そうに眺め、若も眠りについたのだった。
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