ハラハラドキドキプチ旅行! 11

「お前は真面目だからな、あまりいたずらすると怒られるってわかってるんだが…いつもかわいい反応するからな、ついつい繰り返しちまう」

「……」

「さっきも胸だの背中だの気になる話するもんだから、ついつい耳を傾けちまったし…そんな話してちゃあ、覗きたくもなっちまう」

「!聞こえてたんですか!?」

「ああ、丸聞こえだったぞ」


気づかなかったか?、と言われ、リアラは真っ赤になって顔を伏せてしまう。ああ、あの会話が全て聞こえてしまっていたなんて。穴があったら入りたい。
苦笑しつつ、リアラの頭を撫でて、髭は呟く。


「…まあ、今回は度が過ぎた。ごめんな。…にしても、お前があんなこと言うなんてな…」


髭の言葉に首を傾げてリアラが顔を上げると、珍しく照れたように視線をさ迷わせ、口元を手で覆う髭の姿が。


「髪洗うの嫌いじゃないとか、俺の髪触ってて気持ちいい、とか…珍しく動揺しちまった」


そう言って困った顔をする髭。その頬は微かに赤く染まっていて、リアラは目を見開く。だが、すぐに柔らかな笑みを作って。

チュッ

「!」


軽いリップ音とともに頬に柔らかな感触が落ちて、髭は目を見開いてリアラを見る。
自ら髭に寄りかかると、リアラはくすりと笑みを溢す。


「ダンテさん、かわいい」

「かわいい?俺がか?」

「はい」


くすくすと笑いながら甘えるように擦り寄るリアラに、髭はゆっくりと彼女の頭を撫でる。


「許してもらえるか?」

「仕方ないですね、許してあげます」


リアラの答えにほっと安堵の息をつくと、髭はリアラを見つめて口を開く。


「…かわいいな。似合ってる」

「ありがとうございます。ダンテさんも似合ってますよ」


髭の言葉に微笑みながらお礼を言い、リアラは髭の着ている浴衣を見やる。
肩と裾に線だけの格子模様が入った灰色の浴衣に紺の羽織。普段こういう色の服は着ない彼だが、彼の銀髪とアイスブルーの瞳によくあっていて、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
リアラの言葉に、髭も嬉しそうに笑う。


「ありがとな。…お前の方が、よほどかわいいよ」


そう囁くと、髭は髪をバレッタで上げたことであらわになったリアラの首に口を滑らせ、軽く食む。


「ひゃっ!?ダ、ダンテさんっ!」


小さく悲鳴を上げ、顔を真っ赤にするリアラに髭はククッと喉を鳴らす。


「本当にかわいいな…」

「っ、もう、からかわないでください!」

「悪い悪い」


やっと許してもらえたのだ、これ以上機嫌を損ねたくない。
むくれるリアラの頭を撫で、髭は彼女の手を取る。


「とりあえず、部屋に戻るか」

「…うん」


頷き立ち上がると、二人は部屋に向かって歩き出す。


「ディーヴァちゃんと若、もう仲直りしてるかな…」

「さあな。ただ、ずっとあれだと気まずいだろ。渋々許してやってるんじゃないか?」

「…そうかも」


二人は顔を見合わせて、くすくすと笑いあった。

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