ハラハラドキドキプチ旅行! 1

日々寒さを増し、もうすぐ雪も降ろうかという、ある日のこと。
いつも通り事務所でだらだらと過ごす若と髭の耳に勢いよく扉の開く音が届いた。


「ただいま!ダンテ聞いて!すっごいの当てたよ!」


声と共に事務所に飛び込んできたのは夕食の買い出しに行っていたディーヴァだ。後ろにはリアラもいる。
とても興奮した様子のディーヴァに、少し驚きながらも若が尋ねる。


「当たった?何がだ?」

「ふっふっふー、聞きたい?」


怪しげな笑みを浮かべながら、ディーヴァは隣にやってきたリアラに視線を移す。
リアラは笑みを浮かべ、頷いた。


「じゃじゃーん!これだよ!」


若はディーヴァが見せてきた紙に書かれた文字を読む。


「何だ…?『一泊二日・温泉旅館宿泊チケット』?」

「商店街で福引きやってたから一回やってみたら、特等当たったの!しかも家族用だから、四人で行けるんだよ!」

「ディーヴァちゃん引き強いよね、びっくりしちゃった」


目をキラキラと輝かせるディーヴァに、楽しそうに笑うリアラ。
若の後ろから覗き込んでいた髭が尋ねる。


「てことは、このメンバーで行くのか?」

「そうだよ」


どうせ自分達と行くとセクハラされるのが嫌だからトリッシュやレディを誘うだろうと思いつつ尋ねた髭の言葉に、ディーヴァは頷く。
虚をつかれたような顔をした二人に、ディーヴァはむっとする。


「…何、その予想外だったって顔」

「いや、だって…なあ」

「てっきり、『ダンテ達と行くとセクハラされるから嫌だ』って言うと思ってたんだが」

「まあ、その心配もあるけど…」


リアラと顔を見合わせ、ディーヴァは口を開く。


「せっかく四人で行けるんだから、好きな人と行きたいよね?」

「うん」

「ディーヴァ…」

「リアラ…」


頬を赤く染めつつ言う二人が愛らしくて、若と髭はそれぞれの恋人を抱きしめる。


「で、いつ行くんだ?」

「明日はさすがに急だから、明後日でどう?」

「ディーヴァがそう言うなら、オレもそれでいい!」

「じゃあ、決まりだね」

「明日、さっそく準備しなきゃな」


四人でワイワイと楽しそうに話しながら、スラム街の夜は更けていった。

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