Shall we dance? 5
日もすっかり暮れ、街の街灯がつき始めた頃、ティナとリアラは帰り道を歩いていた。ダンテは依頼主に報告してから帰ると言ったため、二人で帰っているのだ。
「ごめんね、ティナも巻き込んじゃって」
「気にしなくていいよ、あたしが寄り道して帰り遅くなったからああなったんだし」
依頼を終えた後、リアラがテレパシーを使ってネロに依頼が終わったこと、そしてティナがそれに巻き込まれて遅くなったことを伝えた。ネロもそれなら仕方ないと了承し、ティナは叱られずに済んだ。
「でも、ティナが無事でよかった」
「リアラのおかげだよ。ありがとね、リアラ」
ほっと安堵の笑みを浮かべるリアラの気持ちが嬉しくて、ティナは笑い返す。
んーっ、と背伸びをして、ティナは言う。
「しっかし、二人共すごかったねー、あんな短時間でたくさんの悪魔倒しちゃうなんて」
しかも息ぴったり、と続けるティナにリアラは苦笑する。
「いつもならあんなに時間かからないよ。今回は他の悪魔を呼ぶ奴がいたから、時間かかっちゃったし…」
「えー、十分早いと思うけどなー」
そう言うティナにありがとう、とリアラは微笑む。
ふと、ティナはリアラをじっと見つめる。
「?どうしたの、ティナ?」
「あーいや、何ていうか…本当に信頼しあってるんだなって。リアラとダンテ」
昔から家族ぐるみでつき合っているらしいが、恋人になった今でも遠く離れて暮らしているというのに、お互いに深く信頼しあい、堅い絆を持っている。
リアラがダンテのことを理解して慕っているのはもちろんだが、ダンテもリアラのことを理解して大切にしているのはダンテがリアラのことを話す時の表情でよくわかる。
「家族であり、恋人かあ…。何かいいね、そういう存在」
「え、い、いきなりどうしたの、ティナ…」
「何でもない。ただ、そう思っただけ」
自分の言葉に顔を真っ赤にするリアラに、ティナは楽しそうに笑う。
「さ、早く帰ろ!あんまり遅いとネロに怒られちゃう!」
「う、うん」
戸惑いながらも頷くリアラの手を引っ張り、ティナは事務所への道を駆け出した。
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