Shall we dance? 3

「ったく、キリがねぇな…!」


チッ、と舌打ちし、ダンテは目の前の悪魔達を睨む。
スケアクロウ、メフィスト…種類は少ないが、数が恐ろしく多い。すでに100体ほどは狩っているはずなのに、数が減った様子はない。


(こんなに気配が多いと原因も上手く突き止められねえ…。どうする…?)


眉根を寄せてダンテが思案した、その時。

ゴオッ

背後で吹雪くような音がして、ダンテは後ろを振り返る。ブレスで悪魔を凍らせながら、魔狼姿のリアラがこちらに向かって来ていた。背中にはティナを乗せている。


「リアラ!」

『遅くなってすみません、ダンテさん!』


リアラはダンテの傍に来ると、周りの悪魔達を睨み高く上げた足を地に叩き下ろす。ダンテ達の周りを氷柱が囲み、そこにいた悪魔達を貫く。
結界を張り、ティナを降ろした後、元の姿に戻ったリアラにダンテが話しかける。


「ティナもこいつ等に襲われたのか?」

「ええ、何とか間に合ったのでよかったんですけど…また襲ってきたので、ダンテさんといる方が安全だと思ってこっちに連れてきたんです」

「そうか。…しっかし、倒しても倒してもキリがねえ。これだけ気配が多いと原因も突き止められねえし…」


困ったように頭を掻くダンテに、リアラはある提案をする。


「私に探させてくれませんか?少しでも集中できる時間があれば、気配を探せます」

「そんなのできるのか?」

「こんなに悪魔を呼び出すくらいです、強い魔力を持ってるはずです。一際強い気配を探し出せば…」

「…わかった、そっちは任せる。それまで俺はあいつ等の相手をしてる」

「お願いします、なるべく早く見つけ出しますから」

「ああ、頼むぜ」

「はい!」


リアラが頷くとダンテは結界の外へと出る。リアラはす、と目を閉じ、神経を研ぎ澄ませて気配を探り始める。


(どこ?どこにいる…?)


スケアクロウやメフィストとは数え切れないほど戦ってきたため、気配は覚えている。その中に紛れた、一際強い魔力は…。
その時、リアラのレーダーに何かが引っかかった。リアラは勢いよく振り向く。


「そこっ!」


リアラが魔力で作った氷柱を放つ。
向かった先はある建物。ティナの目には何もいないように見えたのだが…

ギィィッ!

建物の壁に刺さる前に何かに氷柱が刺さる。次の瞬間には悲鳴を上げながら黒い影が姿を現した。
メフィストに似た、両手に鎌を持つ悪魔だ。鎌の刃部分には赤い石が嵌められている。


「見つけた!」


叫ぶと結界を飛び出し、リアラはその悪魔に向かって走り出す。耳障りな声を上げて悪魔は目の前で鎌を交差させる。鎌の赤い石が光を放ち始める。


「何回も同じことをやらせると思う?」


他の悪魔を召喚することを察したリアラが手を振り上げる。二つの氷柱が地面から伸び、悪魔の両腕を貫いた。叫び声と共に悪魔の手から鎌が滑り落ちる。


「Be frozen hard!(こおりつけ!)」


リアラの一言と共に、悪魔の身体が凍りついた。次の瞬間には交差するように伸びた氷柱が悪魔を貫き、悪魔は悲鳴も上げられないまま砕けて消えていった。同時に別の氷柱で石の部分を貫かれた鎌も砂になって消えていく。

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