Shall we dance? 2

「ティナっ!」


女性特有の高い声が響き、次いで何かが刺さる音が耳に届く。
ティナがおそるおそる目を開けてみると、自分の両脇にいたメフィスト達が地面から生えた氷柱に貫かれていた。メフィスト達は叫び声を上げながら砂となって消えていく。
事態を把握しきれないティナに、誰かが走り寄る。


「ティナ、大丈夫!?」

「リアラ…?」


現れたのはリアラだった。焦ったようにティナの身体を見回し、怪我がないことを確認すると、安堵の息をつく。


「よかった…」

「リアラ、何でここに…?」

「依頼場所がこの近くなの。大量発生してる悪魔を狩ってほしいって言われたんだけど、倒してもきりがなくって…どうやら、何かが悪魔を呼び出してるみたい」

「そうなんだ…」

「うん。もうすぐで暗くなるからティナは早く帰…」


リアラが言い終わる前に、新たなメフィスト達が現れる。思わず舌打ちし、リアラはメフィスト達を睨みつける。


「っ、しつこい!」


そう言うと同時にリアラは両手を広げ、自分の周りに輝く氷の結晶を生み出す。
ダイヤモンド・ダスト―リアラの技の一つだ。
氷の結晶に触れたメフィスト達が凍りつき、砕け散って消えていく。
メフィスト達が消え去ると、リアラはため息をついてティナの方を振り返る。


「ティナも目つけられたっぽいね…。これじゃあ帰れないな」


うーん…、と困ったように眉根を寄せた後、仕方がない、とリアラはため息をつく。


「あっちに行くのは危ないけど、ダンテさんと合流しよう。原因をなくさない限りはまた襲ってくるだろうし」


ちゃんと守るから、一緒に来てくれる?、とリアラはティナに尋ねる。


「うん、リアラの言う通りあいつらまた来るだろうし…リアラとダンテの傍にいれば安心だよ」

「ありがとう」


安堵したように微笑むと、ちょっと待ってね、と言い、リアラはティナと少し距離を取る。
リアラはす、と目を閉じる。同時に彼女の魔力が高まり、吹雪が彼女を包み込んだ。
やがて吹雪が止み、姿を現したのは青みを帯びた毛並みに透明な氷の爪を持つ大きな狼―デビルトリガーを引いたリアラだった。


『ティナ乗って。急いでダンテさんのところに向かうよ』

「うん」


頷いてティナがリアラの背に乗ると、リアラは勢いよく地を蹴った。

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