伝わる優しさ 3

「けっこう買ったな」

「すみません、おいしそうなのばっかりで、つい…」

「いいさ、作るのはお前だからな」


二時間後、市場から出てきた二人は帰り道を歩いていた。リアラは大きな紙袋を一つ抱え、ダンテも紙袋を一つ抱えている。
普段ならこんなに買い込まない彼女だが、豊富な食材を見て色んな料理を考えていたら、つい次々と買ってしまったらしい。まあ、彼女のうまい料理をたくさん食べられると思えば大したことではないのだが。
にしても、大きな紙袋を抱えて歩くリアラは大変そうに見えて、ダンテはリアラに話しかける。


「なあ、リアラ」

「はい?」

「少しあそこで休まないか?ずっとそれ持って歩くのは大変だろ?」


ダンテが指差したのは近くの公園だった。公園内の遊歩道を囲むように紅葉やイチョウが並んで立っている。
確かに、紙袋で前が見え辛くて歩きにくいし、ずっと紙袋を抱えていた腕が少し痛い。
リアラはダンテの言葉に甘えることにした。

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