伝わる優しさ 1

木々も秋の色を増し、少しずつ寒くなってきたある昼下がり。ダンテの誘いで二人は散歩がてら外に出ていた。


「今日は温かいですね」

「最近、風が強くて寒い日ばっかりだったもんな」


あまりに外が寒いため、依頼以外は極力外に出ないようにしていたダンテだが、今日は珍しく温かい日で、リアラを誘って散歩に行ってみようかという気になった。ダンテの誘いにリアラは喜んで頷いたため、二人でこうして街中をブラブラしているというわけだ。
だが、散歩とはいえリアラは買い物もできるようにしっかりと準備してきたらしく、財布の中には食費がちゃんと入っているらしい。「いい物があったら買えるようにするためです」と答えた彼女に主婦みたいだと思ったのは内緒である。


「ダンテさん、市場に行ってみませんか?果物とかいっぱい出てるかも」

「そうだな、行くか」

「はい」


それでも、とても楽しそうに歩く彼女を見ていると自然と笑みが溢れて。
ダンテはゆっくりとリアラの後をついて行った。

[ 98/220 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -