傍にいる存在 7
その日の夜。
「すー…すー…」
やることを終え、自室に戻ったリアラは眠りについていた。真夜中に差しかかったこの時間、部屋は静寂に満ちており、響くのはリアラの小さな寝息だけだ。
ギィ…
静寂を破るかのように、突然部屋の扉が開いた。部屋に侵入してきた影は足音を立てないように歩くと、リアラの眠るベッドの前に立った。そして、ゆっくりとリアラの頬へ手を伸ばす。
「リアラ」
「ん…」
優しく自分を呼ぶ声と頬を撫でる温かなものに促され、リアラはゆるゆると目を開ける。
そこには。
「ダ、ンテさん…?」
カーテンの隙間から零れる月の光を受けて光る銀の髪、そして赤いコート。愛しい人が、目の前にいた。
こてりと、リアラは首を傾げる。
「まだ寝ぼけてるみたいだな。まあ、寝てるところを起こしたんだから無理もないか」
クックッ、と喉を鳴らして笑う彼にようやく現実だと気づいたリアラは目を見開く。
「ダ、ダンテさん!?」
「ああ、大きい声出すな。ティナと坊やが起きちまうだろ」
慌てて飛び起きたリアラに、ダンテは自分の口元に人差し指を添えて言う。はっとして口を両手で覆い、リアラはダンテを見上げる。
「ダンテさん、どうしてここに…」
「レディに頼んで船を用意してもらった。急だったのと夜遅くだったから、高くつくって言われちまったけどな」
肩を竦めて答えるダンテを見つめ、ためらいつつ、リアラは尋ねた。
「あの…」
「ん?」
「急いで、来てくれたんですか…?」
フォルトゥナには週に一回しか船が来ない。それを逃してしまったのだから、レディに頼んで船を用意してもらうことは何となく予想できていた。
だが、わざわざ急いでくる理由なんてないはずだから、明日にゆっくり来てもよかったはずなのに。
フッ、と笑うと、ダンテはリアラの頬に手を添える。
「お前に会いたくて仕方なくてな、気が急いちまった」
「ダンテさん…」
恋人の気持ちが嬉しくて、リアラは両手を伸ばしてダンテに抱きつく。
「おっ、と」
「…私も会いたかったです。依頼だってわかってたけど、少し寂しくて…」
リアラの言葉にダンテは目を瞬かせると、優しい笑みを浮かべて彼女の頭を撫でる。
「…遅くなった」
「いいんです、急いで来てくれてありがとうございます、ダンテさん。嬉しいです」
久しぶりの温かさを噛みしめてから、リアラはゆっくりとダンテから離れる。
「お腹空いてませんか?夕ご飯の残りになっちゃいますけど、用意しますよ」
「いいのか?」
「はい。ご飯食べながら、依頼のお話聞かせてください。私、ダンテさんの話が聞きたいです」
ふわりとリアラが笑うと、ダンテは嬉しそうに目を細めた。
「俺もお前の話が聞きたい。色々と聞かせてくれ」
「はい」
ダンテの差しのべた手に、リアラの手が重なる。
部屋を出て、そのまま二人は居間に向かって歩いていった。
***
はい、やっと書けました!
土間様からのリクエストで『長編夢主とティナのやり取り』と頂いたので、ティナちゃんの愛銃・テディを描かせて頂いた縁で、うちの子とティナちゃん+ネロで銃談義してみました(*^^*)
うちの子が使ってる銃はM1911、通称『コルト・ガバメント』です。わかる方には長編のネタバレになりかねませんが…ギリギリで留めてます←
銃については色々調べましたが知識不足がいなめないので、温かい目で見てやってくださいm(_ _)m
最後、おじさんとうちの子でイチャイチャしてて、書いてる本人がニヤニヤするほど甘くなりましたが、大丈夫でしょうか(笑)
ティナちゃん書いてて楽しかったですー、また書きたい(^ ^)
あ、ちなみにタイトルの『傍にいる存在』には、愛銃と恋人の二つの意味があります(笑)
土間様、改めて相互リンクありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
2013.9.18
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[mokuji]
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