甘えん坊な狼さん 1

暖かな陽射しが降り注ぐ中、事務所にて。
いつものようにソファーに座って本を読む名前に、いつものように名前を抱き締めるダンテ。
読んでいた本から視線を外し、名前は口を開く。


「…いつまでこうしてるの?」

「んー?俺の気が済むまで」


ニコニコしながらそう答えるダンテに、名前ははぁ、とため息をつく。
必ずと言っていいほど、名前がソファーに座っている時はダンテは名前を抱き締めたり、腰に手を回して抱きついたりしてくる。その理由はと言えば。


「なぁ、構ってくれよ」

(ああ、やっぱり)


自分から身体を離したかと思うと、自分の膝に頭を預けて、こちらを見上げるダンテ。
名前はふぅ、とため息をつき、本に栞を挟むと、自分の横にそれを置く。そして、ダンテの頭に手を置くと、日の光を浴びて煌めく銀髪を優しく撫でる。
気持ちよさそうに目を細めるダンテを見て、名前は心の中で呟く。


(犬みたい…)


構ってと自分にくっつき、甘えてくるダンテはまるで犬のようだ。何だか、耳と尻尾まで見えてきたような気がする。
そう思っていると、ダンテは再び名前の腰に手を回し、すりすりと頬を擦り寄せてきた。
名前がそれにくすりと笑みを漏らし、ダンテの頭をもう一撫でした時だった。

ジリリリリン!

机の上の黒電話が鳴り響き、ダンテは顔をしかめる。


「…せっかく名前との時間を楽しんでるって時に…」

「しょうがないでしょ。ほら、早く出て」


名前に急かされ、渋々ダンテは起き上がり、電話の方へと向かっていく。電話の受話器を取ると、ダンテはお決まりの言葉を口にした。


「DevilMayCry?」


受話器ごしにダンテは時々頷いたり、何かを尋ねたりしている。たぶん、悪魔関係の依頼が来たのだろう。
しばらくして受話器を置くと、ダンテはこちらに戻ってきた。


「依頼?」

「ああ、今から行ってくる。夜には戻る」


そう言うと、ダンテは壁に掛けてあったコートを羽織り、リベリオンを背に担ぐ。
立ち上がり、ダンテに近寄ると、名前は微笑んで言う。


「いってらっしゃい。夕食、用意して待ってるから」

「ああ、行ってくる」


名前の言葉に微笑み返し、彼女の額にチュッ、とキスをすると、ダンテは事務所を出て行った。
額を抑え、少し頬を染めながら、名前は呟いた。


「今日のご飯、何にしようかな…」

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