傍にいる存在 4

数分後、愛銃のホワイトウルフと手入れの道具を持ってリアラが戻ってきた。自室から小さなテーブルと椅子を運び入れ、リアラは腰を下ろす。


「ネロはどこまでやったの?」

「部品の点検は済んでる。後は組み立て直すだけだ」

「そっか、じゃあ私も手早くやっちゃおう」


そう言うと、リアラは愛銃を手に取り、さっそく分解し始めた。みるみる内に分解されていく銃を見ながら、ティナは感嘆の息を漏らす。


「手慣れてるなあ。それに早いし」

「もう5年も使ってるからね、さすがに慣れたよ」


苦笑しながら答えると、リアラは分解し終わった銃の部品を一つ一つ手入れしながら点検していく。部品を見るその目は真剣で、どれだけ大事にしているか見ていてわかる。


「うん、全部大丈夫ね」

「けっこう時間かけるんだね、ダンテなんかパパッと終わらせちゃうのに」

「私なんかよりダンテさんの方が長く銃を使ってるもの、必要なところだけ見てるんだよ」


私は心配性だから時間がかかっちゃうの、と苦笑しながらリアラは続ける。


「早ければいいってもんでもないだろ。自分のやり方でいいんじゃないのか?」

「そうだね、ありがとう、ネロ」

「お礼を言われるようなことなんて言ってない」


ぶっきらぼうにそう返すと、ネロは組み立て終わったブルーローズを手に取り、あらゆる角度から確認する。


「見落としはないな…よし、終わった」

「ネロ、終わったばかりで悪いんだけど、ティナのも見てあげてくれないかな?ネロの方がリボルバーの扱いには慣れてるし」

「わかった。ティナ、テディ貸せ」

「あ、うん」


頷き、ティナはコートの内ポケットに入れていたテディを取り出し、ネロに手渡す。テディを受け取ると、ネロは一通り回し見てから、分解し始めた。
その様子に、感嘆したようにティナが呟く。


「うわ、あっという間…使ってるあたしなんかより早い」

「当たり前だ、お前より銃使ってるんだからな」

「ティナはあまり手入れしないの?」


リアラの問いにティナは困り顔で返す。


「うーん、なるべく自分でやるようにしてるんだけど、まだまだ勉強中で…ネロやレディに教えてもらってる」

「そうなんだ…。ダンテさんは手入れの仕方教えてくれないの?」

「ああ、だめだめ、前にテディの調子悪くなってダンテに頼んだ時、『坊やの方がリボルバーの扱いに長けてるから坊やに頼め』って言ってやってくれなかった」


ティナが肩をすくめると、そっか、とリアラは苦笑する。


「まあでも確かに、扱いに長けてる人に頼んだ方がいいよね。私の銃ならダンテさんの銃とほぼ同じ構造だから、ダンテさんに教えてもらった方がいいけど」

「ああ、そういえばそうだね」


頷いた後、ティナはいつの間にか組み直されたリアラの銃を見つめて言った。

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