幼なじみ振り向かせ大作戦! 9
「…俺は、半分悪魔だから」
「!」
「親父が悪魔なんだ。小さい頃、俺の親を見ただろ?」
ダンテの言葉に、アリスは頷く。
ダンテの母親と違ってあまり姿を見なかったダンテの父親だが、姿はよく覚えている。ダンテと同じ髪と目の色で、優しい顔をしていた。
「半分この血を引いてるから、悪魔によく狙われる。…だから、巻き込みたく、なかった」
「ダンテ…」
巻き込みたくなかった。だから、あんなことを言った。
じゃあ、じゃあ…。
「大切だと思ったから、そうしようとしてくれたの…?」
「ああ。…お前が、好きだから」
「…!」
「もう、大切なものを失いたくなかったから。だから、毎日毎日お前が俺の気を引こうとしてたのも気づいてたけど、気づかないふりしてた」
「……」
「…ごめん。俺、酷いことしたな」
俯くダンテに、アリスは声をかけた。
「…ダンテ」
優しい声にダンテが顔をあげると、アリスが抱きついてきた。
「ありがとう。ダンテがそう思ってくれてたの、すっごく嬉しい」
微笑みながら、アリスは続ける。
「私、ダンテが半分悪魔でも好きだよ。大好き。どんなに危なくったって、ダンテが傍にいれば平気だよ」
「アリス…」
「もし、ダンテがいいって思ってくれるのなら…傍に、置いて?」
アリスの控えめな願いに、ダンテは彼女を抱きしめる。
「…もう絶対、逃してやらない。ずっと傍にいろ」
「うん」
きれいな蜂蜜色の瞳が自分に向けられる。彼女の焦げ茶の髪を梳くと、手を滑らせて顎を上向かせた。
「アリス」
何、とアリスが尋ねる前に、ダンテは自分の唇をアリスの唇に重ねた。チュッ、と軽いリップ音がして顔を離すと、彼女は顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
思わずダンテは笑ってしまう。
「お前…顔真っ赤」
「〜っ!誰のせいだと…!」
仕返しとばかりにポカポカとダンテの胸を叩いていたアリスは、彼の胸元で光るものに気づき、動きを止める。
「これ…」
それは、アリスがダンテにと事務所に置いてきたネックレスだった。
「ああ、これか?手紙読む時に腕に巻きつけてたんだけど、こっちに向かってる時につけた」
いいセンスしてるな、気に入った、そう言って笑うダンテにアリスは恥ずかしさを感じながらも、同時に嬉しさを感じていた。
「なあ、これどこで買ったんだ?」
「え?市場からちょっと外れたところ、だけど…」
「なら、事務所に荷物置いたら出かけようぜ。そこでお前に似合うの買ってやるよ」
「…うん」
片手でトランクを持ち、差し出されたもう片方の手にアリスは手を重ねる。
ゆっくりと、二人は事務所への道を歩き始めた。
***
お待たせ致しました、やっと完成しました!たまごねこ様リクエストで、ボカロの『こっち向いてBaby』、初代夢でオリジナル夢主でした!
内容はある程度決まっていたのですが、夢主ちゃんの外見がなかなか決まらず、書くのに時間がかかりました。すみませんm(_ _;)m
イメージは『不思議の国のアリス』。突然現れて、突然消える(つまりはダンテの前に突然現れる)明るい子を目指しました。とはいえ、初代が相手なのでちょっと大人っぽいですが。ちなみに同い年設定です。
今回はトリッシュも登場。二人の仲を取り持ってもらいました(*^^*)口調がおかしい気がしますが…(^ ^;)いつか長編にも出したいな。
せっかく外見設定してたのに、最後に少ししか出せませんでした…すみませんm(_ _;)m
たまごねこ様、リクエスト、ありがとうございました!
2013.10.4
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[mokuji]
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