幼なじみ振り向かせ大作戦! 6

「ふぁ…」


大きなあくびをしながら、ダンテは一階に降りてきた。
珍しく朝と言える時間に起きたため、今日はアリスと一緒に出かけようと考えていたダンテは、ふと違和感に気づいた。


「アリス?」


いつもなら自分が階段を下りてくる音に気づいて、笑顔で「おはよう」と言ってくれる彼女が姿を見せない。事務所を見回しても、姿はどこにもなくて。


「どこに行ったんだ…?」


困ったように頭をガシガシと掻きながらダンテがキッチンのある方を見た時、いつも食事をするテーブルに食事と共に何かが置かれていた。


「何だ…?」


ダンテはテーブルに近寄る。置かれていたのは、折り畳まれたメモとその上に乗せられたシルバーのネックレス。
首を傾げながらネックレスを腕に絡め、その下にあったメモを開く。

『さようなら。
       アリス』

「…は?…!!」


一瞬あっけにとられたダンテだったが、その言葉の意味に気づいた途端、先程下りてきた階段をかけ上がる。
バン、と勢いよくアリスの部屋の扉を開けると、部屋は使われる前の状態に戻っていた。彼女のものは、何一つない。


「どういうことだよ…!」


苛立ってダンッ、と壁を叩いたその時、事務所の扉の開く音がした。

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