▼ 買い物のおとも 2
「バージル、お前も若と一緒に買い物に行ってきたらどうだ?」
「…なぜ俺が行かなければいけない」
「たまには兄弟で一緒に出かけるのもいいだろ?どっちにしろ、誰か一緒に行かなきゃいけないしな」
バージルは初代を軽く一睨みした後、諦めたのかため息をついて本を閉じる。
「…さっさといくぞ、愚弟」
「はいはい、オニーチャン」
やれやれといった風に若が立ち上がると、ふいに部屋の隅にいたディーヴァがとてとてと近寄ってきた。
「ぶい…」
「お、どうしたディーヴァ?お前も一緒に行きたいのか?」
気づいた若が抱き上げて頭を撫でてやると、ディーヴァは気持ちよさそうに目を閉じる。
ブイズの中で一番怖がりなディーヴァだが、双子にはだいぶ慣れてきたようで、最近はだっこされてもあまりビクビクしなくなった。慣れてきたようで、何よりである。
ディーヴァをだっこしたまま、若が言う。
「なぁ、ディーヴァ連れていってもいいだろ?」
「まあ、お前らに一番懐いてるからな、いいだろ。ただ、ディーヴァだけだと心配だな…」
双子がついているとはいえ、ディーヴァはまだ人混みに慣れていない。一匹では心許ない。
初代の言葉にバージルは思案するような仕草をすると、先程まで自分が座っていたソファを振り返った。
「…リアラ」
バージルが名を呼ぶと、ピクリと耳を動かし、ソファの隅で寝ていたリアラが目を覚ました。
「…一緒に買い物に行くか?」
「しあ?」
こてん、とリアラは首を傾げる。バージルの意図を察して、若がリアラに近づいて言う。
「今からディーヴァ連れて出かけるんだけどさ、よかったらリアラもついてこないか?寝てばっかりもひまだろ?」
屈んで視線を合わせると、リアラはしぱしぱと目を瞬かせる。だが、言葉の意味がわかったようで嬉しそうに目を輝かせた。
「しあ!」
「よし、じゃあ行くか!」
こうして、若とバージル、ディーヴァとリアラで買い物に行くことになった。