▼ 買い物のおとも 1
もうすぐで昼になろうかという時間、昼食を作ろうと冷蔵庫を開けた初代が呟く。
「何もねーな…」
冷蔵庫の中はほぼ空っぽの状態で、あるのはミネラルウォーターやピザ用のチーズやバターのみ。
そういえば、と二代目が口を開く。
「今日は買い物に行かないと、とネロが呟いていたな」
今朝、依頼が入ったため、ネロと髭の二人は仕事に行っている。ここからだいぶ距離のあるところらしく、帰りは夜になるかもしれないと髭が言っていた。
「確か、冷蔵庫にメモが貼ってあったはずだが…」
「お、本当だ。…うわ、結構あるな」
初代が手に取ったメモには、食品だけでなく、洗剤やせっけんなど日用品も連ねて書かれていた。
「最近、日用品も足りないと言っていたからな。今日は荷物が多くなりそうだな」
「だな。さて、どうすっかなー…」
呟き、初代はリビングを眺めると、ある人物に近寄った。
「おい、若」
「ふぁ…何だよ、初代?」
初代が声をかけたのは若だった。ソファで横になって気持ちよさそうに寝ていた若は、まだ眠いといった風にあくびをする。
「今から買い物に行ってきてくれねーか?このメモに書いてあるやつな」
「えぇ、何で俺が…」
「お前、ひまそうにしてたからな。荷物多くなるから、誰か連れてった方がいいぞ」
ほら、と初代から手渡されたメモを見て、うわ、と若は顔をしかめる。
「多っ。これ全部かよ」
「足りねーもん全部書いてあるみたいだからな。食料も入ってるから、それがないと昼メシも作れない」
「マジかよ…。はぁ、わかった」
仕方なく起き上がった若を横目に、初代は向かいのソファで本を読んでいるバージルにも声をかけた。