コラボ小説 | ナノ
 秘密(?)の特訓 2

「うらっ!」


ヒュッ、と風を切る音が響く。ネロがいくつものパンチを繰り出す中、リアラはひょいっと身軽にかわす。


「これでどうだ!」

「しあっ!」

「っ、やるな!」


避けられてからも間髪入れずにネロはパンチを繰り出すが、攻撃はなかなか当たらない。
ネロの攻撃が弱いわけではない。彼のパンチはパワーがあるし、スピードだってある。それでも当たらないのは、リアラが紙一重で攻撃を避けているからである。
リアラはネロの攻撃をギリギリまで見極め、最小限の動きで避けている。その身体の動きはしなやかで、美しささえ感じさせる。
長い間攻防を繰り返していた二人だが、先に折れたのはネロだった。


「あー、参った!」


くそっ、と悔しそうに言うネロをお座りの態勢で見つめ、リアラは嬉しそうに鳴く。


「しあー♪」

「相変わらず避けるの上手いよな…身体の使い方上手いんだな」

「しあっ」

「お前も毎日特訓してるもんな。努力の結果、ってわけだ」

「しあー♪」


よしよしと頭を撫でるネロの手が気持ちいいのか、リアラは目を閉じてゴロゴロと喉を鳴らす。
ネロがリアラの特訓に気づいたのは一週間前だった。朝早く、ネロが鍛練をするために事務所の扉を開けると、リアラがティナの投げる空き缶に向かって『れいとうビーム』をぶつけていた。どうやら彼女も鍛練をしていたらしく、それから毎日見かけるようになった。大抵はティナかディーヴァが一緒にいるが、時々鈴が鍛練に付き合っていることもある。どうやら、鈴達の中ではリアラの特訓は周知の事実らしい。
最近はリアラと一緒に鍛練をしており、こうやって組み手(のようなもの)をしたり、的になる物を投げる役をやってやったり、お互いに相手をしながらやっている。
言葉はわからないものの、強くなりたい理由は同じな気がして、ポケモンも人も同じなんだなと思う。
その時、事務所の扉が開いた。