▼ ‐闇に咲く花‐ 8
「…で、話ってのは?」
座ってすぐ、髭が話を切り出す。
「今日、トリッシュが店に来てね、『報告』があったわ」
『報告』、その言葉に場の空気がピン、と張り詰める。
「…近々、オスクがあの計画を始めるわ」
「!あの計画って…!」
初代が目を見開く。
ネーヴェは目を細め、ぽつりと呟いた。
「…『expressionless bloody doll』」
その言葉に、皆が目を見開く。
「こんなの、本当は伝えたくなかったんだけどね。けど、誰かが止めなきゃまたあの悲劇が繰り返される」
五年前に止めたと思ったらまたやるなんてね、と嘲笑うように続けたネーヴェの目にはただならぬ殺気が込もっている。それは女性二人も同じで、リアラは無表情で、キッサはギリッ、と歯ぎしりしながら殺気の込もった目をしている。
心配そうにリアラを見る若、キッサを見る初代に対して、髭は静かにネーヴェに問う。
「…それで、詳しい日時は?」
「まだわからないわ。トリッシュも近々って言ってただけだし。でも彼女の情報だもの、信頼できる」
「…そうか」
「また連絡も来るだろうし、しばらくは待機ね」
そう言って息をつくとネーヴェは立ち上がり、先程の顔が嘘のように優しい笑みを浮かべて言った。
「話はこれでおしまい。せっかくみんな集まったんだから、家でご飯食べていって」
上だと狭くて場所がないから、ここで食べることになるけど、とバレッタを外しながら苦笑するネーヴェに、その場の空気が一気に柔らかくなる。
「上に椅子持っていけばいいだろ。何食うんだ?」
「シチューだよ」
「私、シチュー大好き!」
「いっぱい作ったから、どんどん食べてね」
「うん!」
「準備手伝うわ、ネーヴェ」
「ありがとう、リアラ」
「じゃあ、俺達は椅子を運ぶか」
「ああ」
「貴様も手伝え」
「言われなくてもわかってるよ!」
久しぶりに皆が集まった夜は賑やかに過ぎていった。
***
お待たせしました、やっと一話目です…!シリアス少なくてすみません(・ω・`;)
『かに玉。』のたまごねこ様と勢いで始めた軍パロです。ダンテ達は軍服似合うと思います(笑)あと、設定を作るのが楽しくて仕方ない(笑)
これからどんどんシリアスになっていきますので、楽しんで頂けると幸いです。
最後に、この場を借りて協力してくださっているたまごねこ様にお礼を申し上げます。ありがとうございます。
2013.10.26