▼ ‐闇に咲く花‐ 7
「ネーヴェちゃん!」
いきなり自分の元に飛び込んできた影を受け止め、ネーヴェは苦笑する。
「相変わらずね、キッサ」
「ふふっ。あ、リアラちゃん、久しぶり。若も」
「久しぶり、キッサ」
「何かおまけみたいな言い方だな。まあ、いいけどよ」
半分呆れたように若が言うと、キッサの後ろから大きな手が現れ、彼女の頭を軽くチョップした。
「いたっ」
「お前、毎回そうやってネーヴェに抱きつくの止めろって言ってるだろ」
そう言って現れた影に、ネーヴェは苦笑して返す。
「いいのよ、初代。いつものことだから」
「いつものことって言ったって、こいつ加減を知らないんだぜ?お前、いつか転ぶぞ」
「大丈夫よ、そんなにやわじゃないから」
「ならいいけどな」
若と同じ銀髪に褐色の肌をした男性―初代は肩を竦める。
「ダンテ達は?」
「残りの三人なら、今こっちに向かってる。もうすぐで着くだろ」
「もう着いている」
二人の会話を遮るように発された言葉に皆が扉の方を振り返ると、三人の男性が立っていた。
「おう、バージル。早かったな」
「貴様がキッサの店に寄っていて遅くなっただけだろう」
若と同じくらいの外見で髪を後ろに撫でつけた男性―バージルは鼻を鳴らす。その後ろにいた男性の片方―このメンバーの中で最年長であろう男性がネーヴェに声をかける。
「久しぶりだな、ネーヴェ。元気にしてたか?」
「お陰様で。2様も元気にしてた?」
「ああ」
「そう。ならよかった」
ネーヴェが頷くと、2様の隣にいた銀髪の体格のいい男性がネーヴェに近寄り、彼女の肩に手を置く。
「おいおい、他の男ばっかりと話して、恋人のことはかまってくれないのか?」
「うるさい、あんたはほぼ毎日来てるでしょうが」
男性の手を払い除け、ネーヴェは男性を睨み付ける。
「まあまあ、そう怒るなネーヴェ。髭もからかうなよ。ネーヴェ、話があって俺等を呼んだんだろ?」
初代の言葉にネーヴェは我に返る。
「ああ、そうだった。みんなに大事な話があるの、座って」
ネーヴェの言葉により、皆はそれぞれ席に着いた。