▼ ‐闇に咲く花‐ 5
「あ、ケルベロス」
「ん?本当だ」
リアラの様子に気づいて後ろを見たダンテも声を上げる。
見慣れた影はネーヴェの飼い犬のケルベロスだった。ケルベロスは二人の元まで来ると、お座りの体制を取って二人を見上げる。
「ネーヴェから伝言だ」
ケルベロスの首に掛けられた鞄に気づくと、リアラは鞄を開けて紙を取り出す。文章に目を通した瞬間、リアラが険しい顔をした。
「どうした?」
首を傾げながらダンテがリアラの持つ紙を覗き込むと、短く、ある一文が書かれていた。
『半月の元、店に集合。
ネーヴェ』
その伝言を見て、意味を理解したダンテも険しい顔をする。
「集合…か。何かあったな」
「うん。…今日は、ゆっくりできなさそうね」
「ああ。おっさん達に知らせてくる」
「お願い。私はバージルに知らせるわ」
「わかった」
頷き合い、二人は急いでその場を後にした。