▼ その後 4
数年後ー。
「じゃあ、行ってくるな」
「行ってらっしゃい、ダンテさん」
事務所の玄関で自分を見送るリアラの頬にキスをし、ダンテは依頼先へと出かける。その後ろ姿を見送り、リアラは柔らかな笑みを浮かべる。
「さて、掃除でもしようかな」
依頼先は多少距離があるらしく、夕方に帰ってくるとダンテは言っていた。一人だとすることは限られているし、なら掃除をしてしまおうと考えて、リアラは事務所の中に入る。
水の入ったバケツと雑巾を用意したリアラはそうだ、と思い出したように言う。
「久しぶりに、あの部屋を掃除しようかな」
二階への階段を上り、リアラはすぐ近くの部屋へと入る。そこはダンテの持つ魔具を置いている武器庫で、思い出深いあの鏡も置かれていた。
懐かしそうに鏡を眺めると、リアラは絞った雑巾で丁寧に鏡を拭く。隅々まで丁寧に磨き上げると、雑巾をバケツに戻し、リアラは鏡の表面に手を置く。
「ディーヴァちゃん…」
元気に、してる?ダンテと仲よく、幸せに過ごしてる?
…会いたい。
そう、リアラが願った時だった。