▼ その後 1
ディーヴァとあちらのダンテの世界から元の世界へ戻ってはや数日。
フォルトゥナから事務所のあるスラム街へ帰ってくるまで時々感じる寂しさに気が沈んでいたリアラだが、いつまでもこうしてはいられないと気持ちを切り替え、今はいつも通りの生活をしている。ずっと暗いままではあちらのダンテにいつまでそうしてるんだよ、と苦笑されてしまいそうだし、ディーヴァに心配されてしまうと思ったからだ。
季節は春真っ盛りであり、事務所の窓からは温かな日差しが差し込んでいた。
朝食を食べながらゆったりとした時間を過ごしていた時、ダンテが口を開いた。
「リアラ、天気もいいし、よかったら出かけないか?」
「お出かけ、ですか?」
「ああ。公園にでも行ってみるか。リアラ、花が好きだろ?」
「花…」
ふいに、リアラはディーヴァの言葉を思い出した。
『春先に一面にぶわーって咲く場所があるんだけどさ、まるで薄い水色の絨毯が敷いてあるみたいでとーってもきれいなんだぁ…』
「?どうした?」
「あ、えっと…。その、花でディーヴァちゃんの言葉を思い出して」
その時の話をし、ディーヴァが教えてくれた場所を伝えると、ダンテはふむ、と頷く。
「ここから近いな。ちょうどいい、行ってみるか」
「はい」
嬉しそうにリアラは笑った。