▼ party of the full moon 2
「秋とか冬ってイベント多いよね。つなちゃん、衣装とかもう考えてたりするの?」
「もちろん!来月はビックイベントがあるからねー」
先程とはうって変わって目を輝かせる雪菜。ああ…、と納得したようにたまごねこは言う。
「ビックイベントって、ハロウィンのこと?」
「そう!ここら辺じゃまだまだ浸透してないけど、こんないいイベント、逃すわけないでしょ!」
「仮想して、堂々と街出られる日だもんね。つなちゃんの腕が鳴るわけだ」
「そういうこと♪」
楽しそうに言う雪菜は、それでね、と話を続ける。
「今、ダンテ達の衣装考えてるんだけど、色々と悩んでてねー、何人かは決まってるんだけど」
「え、どんなのどんなの?」
身を乗り出してたまごねこは聞く。けっこう乗り気である。
「えっとね、まずおじさんは吸血鬼。これは即決めだった」
「即決めなんだ…」
「うん。あの気だるげな感じとか。他に似合う人いたら教えてほしい」
キリッ。何だかドヤ顔である。
「後は?」
「後はねー…リアラは狼。魔女と悩んだけど、リアラ、狼好きだから」
「本当?嬉しい」
「つなちゃんもリアラちゃんは狼イメージって言ってたもんね」
「うん。狼っていっても女の子だからかわいらしくするつもりだよ。スカートとかね」
「スカートだと動き辛くない?尻尾あるんだし」
「そこは私の腕の見せどころだね」
「楽しみにしてる」
「うん、がんばっていいの作るね」
「ねえねえ、他はー?」
「他はねー…ネロは狼男で、初代はわんこ。バージルはミイラ男かな。初代は狼男にしようかと思ったんだけど、わんこの方が似合いそうだし、ネロと被っちゃうから」
「リアラとも被っちゃうよ?」
「異性だからOK」
「なるほど。ねえねえ、私は?」
キラキラと目を輝かせるたまごねこに、雪菜はうーん、と考えながら答える。
「ねこちゃんはねー、にゃんこか魔女で迷ってるんだよねー。若と2様はまだ候補も出てないし」
「おばけとかは?」
「おばけだと顔とか隠れちゃうでしょ?なるべく顔出したままできるやつにしたいんだ」
「そうなんだ…。雪菜は何にするの?」
リアラに問われ、雪菜は手を振る。
「え?私、着ないよ?」
「「え」」
リアラとたまごねこは揃って目を見開く。
「なんで着ないの?」
「自分の作った衣装着るなんて恥ずかしいもん、私は作るのに徹する」
キッパリと言いきった雪菜の腕を掴み、たまごねこは上目遣いで言う。
「えー、つなちゃんも着ようよー、皆でやった方が楽しいよー」
「私も、雪菜と一緒に楽しみたいな」
「うーん…。でも、似合うやつないし…」
「じゃあ、私とお揃いにしよう!それなら恥ずかしくないでしょ?」
「まあ、それなら…」
「やったー!」
満面の笑みを浮かべるたまごねこに、雪菜はくすりと笑みを漏らすと、再び窓の外を見上げる。